インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然
民放テレビ局「メトロTV」の若手編集スタッフが発見された現場 KOMPASTV / YouTube
<ニュース番組スタッフの殺害事件。だが報道に関するトラブルでもないという......>
インドネシアの民放テレビ局「メトロTV」の若手編集スタッフが遺体で発見される事件が発生した。複数の刃物傷が残されていることや遺体がバナナの葉で覆い隠されていたこと、さらに所持品がほとんど奪われていなかったなどから地元警察は「物盗りではない殺人事件」との見方を強めて捜査を開始した。
かつては政府関係者、高級公務員や大物財界人、治安当局者などの腐敗や汚職、人権侵害などを追及する記者やマスコミ関係者が口封じと見せしめのために殺害される事件があったが、最近はそうした事件もほとんどなくなっていただけに、今回の事件の背景、犯人像、犯行動機などをめぐって様々な憶測が飛び交う事態となっている。
メトロTVのニュース番組で映像編集を務めていたヨディ・プラボウォ氏(26)は7月7日午後10時半ごろ、勤務先のメトロTVでの仕事を終えて退社、その後行方不明となった。
家族から「帰宅しない」との連絡を受けた警察が照会のあったヨディ氏所有のバイクを捜索していたところ、8日午前2時ごろに南ジャカルタ・パサングラハーンにあるウルジャミ・ラヤ通り近くのガソリンスタンドに駐車してあったヨディ氏所有のバイク「ホンダビート」を発見した。警察によるとバイクは発見時にはエンジンは冷えており、誰がそこにバイクを駐車したのか目撃者はいなかったという。
凧揚げ中の子供が遺体発見
その後もヨディ氏の捜索が続く中、10日午前11時45分ごろバイクが発見されたガソリンスタンドに近い高速道路の道路脇と一般道の間にある斜面のような空き地でコンクリートの塀際に男性の遺体があるのを凧揚げで遊んでいた子供3人が発見して、警察に届けた。
現場に到着した警察官によると、遺体にはバナナの葉がかぶせてあり、ヘルメットとジャケット、靴、バッグ姿でうつ伏せ状態だったという。所持品の中に運転免許証、身分証明書などがあり身元はすぐにヨディ氏と確認された。
遺体は近くのクラマトジャティ警察病院に運ばれ法医学チームによる司法解剖、検死が行われた。11日に記者会見したジャカルタ警察の報道官によると遺体には首と左胸に鋭利な刃物によるとみられる傷があり、さらに首には鈍器によるとみられる外傷も確認されたという。遺体の近くから犯行に使われたとみられる鋭利な刃物も警察によって回収され、指紋採取、血痕の血液型などの鑑識作業が続いているという。
現場で回収されたバッグの中や着衣のポケットなどから携帯電話、財布(所持金4万ルピア=約300円)、銀行のATMカード、納税者番号カードなどが発見、回収された。こうした所持品の状況から警察では「窃盗や強盗などの物盗りの犯行の可能性は低い」として「殺人事件」と断定して特別捜査チームを編成して犯人逮捕を目指している。
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