バリ島、コロナ終息待てずに観光再開 高級リゾートのテレワーク格安プランを提供、ただし国内限定
美しいバリ島のビーチに観光客が戻るのいつの日? REUTERS/Nyimas Laula
<日本同様に観光業の売上が激減した東南アジアのリゾート。見切り発車ともいえる規制緩和だが、果たしてお客は?>
世界的観光地であるインドネシアのバリ島が7月31日から観光客の受け入れを再開する。といってもインドネシアは新型コロナウイルスの感染拡大が止まることを知らず、バリ島のあるバリ州も7月30日現在で感染者3360人、死者48人となっており、観光再開は感染の危険性が低くなっていることが理由では決してない。
バリ島は観光が主要産業で、インドネシアで初のコロナウイルス感染者が確認された3月以来、感染者数の増加に伴い政府が打ち出す各種の社会的、経済的制限に準拠して飲食業、ホテル業は営業停止に追い込まれ、島内各地にあるビーチや観光スポットも閉鎖となって閑古鳥がないていた。
このため経営困難から多くの飲食店、土産物屋などが倒産に追い込まれ、ホテルなどの不動産も破格の安値で売り出される状態に直面。このままでは観光地としてバリの復活は不可能になる、との危機感が日増しに高まっていた。
5月の入国者は36人、昨年48万人の落差
日本貿易振興機構(JETRO)ジャカルタ事務所によると、2020年1月から3月までの経済成長はマイナス7.7%に落ち込み、4月からの海外入国者制限実施に伴い、外国人観光客が激減。5月の海外からの入国者は36人で前年同期の48万3900人と比べれば天と地以上の差となり、島全体が苦境にあえぐ状態に追い込まれていた。
こうした状況にバリ州のワヤン・コステル知事が動きだし、いくつかの条件付きで国内観光客に限定した観光再開に31日から漕ぎ出すことになった。
この間、観光地でありながら各種の厳しい活動制限に反発した長期滞在の外国人らが立ち入り禁止のビーチに繰り出したり、「3密」となるパーティーや交流会が行われて周辺のバリ人住民から苦情が寄せられ、イベントを企画した外国人が国外強制退去処分になった事件も大きく報道された。
ようするにバリ全体がもはやコロナ禍の苦境に耐えられない限界を迎えていたといえる。
それだけに今回の観光再開は国内観光客限定とはいえ、バリ島の観光産業復興への大きな足掛かりとなると各方面から大きな期待が寄せられている。