最新記事

感染症対策

「マスク品切れ」いつまで経っても解消されないのは何故? 多くの人に届ける方策とは

2020年4月24日(金)16時22分
菅原幸子(医薬品業界誌記者、月刊ドラッグマガジン編集長)*東洋経済オンラインからの転載

マスクの販売方法については、今後もさまざまな工夫が検討されるだろう。

一部のドラッグストア経営者の間では、ドラッグストア企業がすでに構築している会員制度を活用して、まずは会員に対して「より広く」販売する施策も検討されている。

ドラッグストアの中にはアプリを介して会員に商品クーポンを配布する機能を有している企業も少なくない。この機能を使うことで、会員へ"マスク販売券"を配ることが可能だ。

アプリを積極活用していなくても、会員カードの発行はしている企業は多い。あくまで筆者のアイデアベースではあるが、例えば、1回目は会員番号の下1桁が1と2の人に限定して販売し、次は3と4の人......というように販売していくことなどもできる。

「会員を優先してマスクを販売するのは不公平だ」という批判も出そうだが、地域に暮らしている住民であることが確認できる分、少なくとも転売目的の集団を排除する効果は得られる。

ドラッグストア店員への負担が重くなっている

ただ、これらの施策にはドラッグストア企業側の業務負担が重いため、現況下で導入できるかは不透明だ。ドラッグストア企業でもパート社員が休校の影響で休暇を取るケースが発生しているが、緊急事態宣言下でもドラッグストアは生活のインフラとして営業を続けなければいけない。出勤している社員への負担が重くなっている状況だ。

今後、いかなる施策をドラッグストアが投じたとしても、「不公平だ」という声が挙がるリスクをはらんでいる。絶対数が足りない中、満遍なく全員にマスクを販売することは不可能だからだ。

今は緊急事態だ。消費者側も、普段の「理想」を店頭に要求するのではなく、「現在の条件下での最善の選択」に理解を示していく姿勢を期待したい。

そして、今回の新型コロナウイルスは空気感染の可能性が否定はされていないものの、多くの場合、飛沫感染していることが知られている。その意味ではガーゼマスクも感染拡大予防に有効な手段だ。無症状であるケースも多いことから、すべての人が自分は感染者だと捉えてマスクをする意味も大きい。少しでも飛沫が飛ぶことを避けるため、手作りを含めてガーゼマスクを繰り返し洗濯しながら積極的に活用することも重要であることを書き添えたい。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中