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感染症対策

「マスク品切れ」いつまで経っても解消されないのは何故? 多くの人に届ける方策とは

2020年4月24日(金)16時22分
菅原幸子(医薬品業界誌記者、月刊ドラッグマガジン編集長)*東洋経済オンラインからの転載

ただ、この施策に強制力はなく、同じ人が時間差で購入する場合に店頭は拒否できるかというと難しい場合もあるだろう。同じ世帯の人の場合も同様だ。この施策だけで十分ではないことは明らかだ。

実際に、上記の方法は当初から導入されてはいるが、ドラッグストアではトラブルが相次いで発生している。

通常どおりに開店前に仕入れをして、オープンすると、当然のことながらマスクは開店直後に店頭に並ぶ確率が高いことになる。それを察知した消費者が開店前のドラッグストアの店前に行列をつくった。行列によって顧客同士や顧客と店員との騒動も多発している。

この行列に対しては、「渋滞などをつくり近隣住民に影響が及ぶ」「そもそもこの行列自体が感染のクラスター化しかねない」といった問題点も指摘されてきた。

「より多くの人に販売」という観点においては、「朝、並べる人だけが買える」という不公平感や、「転売目的の集団が買いやすくなる」という点で問題がある。

妊婦に優先販売を進めるドラッグストアも

ドラッグストア側も無策ではない。販売方法を見直す動きが活発化している。

北海道を地盤にするサツドラホールディングス(北海道札幌市)は、開店時のマスクの販売をとりやめた。

同社は、開店時のマスク販売をとりやめた理由と今後の見通しについてYouTubeで配信している。社長の富山浩樹氏自らが登場。現在の売り方では仕事などで朝、店に並べない人はマスクを買えないという状況が起きていると指摘。「購入機会の平等性」を確保することが大きな目的だったと説明している。

また、九州を地盤にするドラッグストア企業の大賀薬局(福岡県福岡市)では、妊婦への優先予約販売を進めている。妊婦へ優先してマスクを販売することを事前に告知、希望者を募集し、販売権を付与したうえで、母子健康手帳を持参してもらい販売するというものだ。


北海道のドラッグストアチェーン サツドラホールディングスは、開店時のマスク販売をとりやめ、手作りマスクの作り方も紹介している。 YouTubeサツドラ公式チャンネルより

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