中国、新型コロナウイルスの死者563人・感染者3万人に近づく
経済への影響
新型肺炎の感染が広がるなか、多くのアナリストが中国の経済成長見通しを下方修正した。
米格付け会社ムーディーズは、自動車販売・生産を巡るリスクを指摘している。
一方、ワクチン開発に関する報道や中国人民銀行(中央銀行)による市場支援策などを受けて、世界の市場は落ち着きを取り戻している。
5日の欧州株式市場は上昇し、米国債利回りは上昇、米株先物は急伸した。6日のアジア株式市場は総じて小幅高。
フィッチ・レーティングスは5日、感染が拡大する新型コロナウイルスにより今年の中国経済は下押しされるとの見通しを示した。2020年第2・四半期になっても感染拡大が止まらなければ、成長率は大幅に落ち込むと予想。20年の第1・四半期成長率は3%近辺になるとの見方を示した。
中国の主要貿易相手国も新型肺炎が観光や教育などの分野に及ぼす影響を懸念している。
カドロー国家経済会議(NEC)委員長ら米政府高官は、通商協議の「第1段階合意」で中国が約束した輸出の大幅拡大が新型肺炎の影響で遅れる可能性があるとの見通しを示している。
またオーストラリアのモリソン首相は6日、中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大によって豪経済に「著しい」影響が及ぶとの認識を示した。
企業活動への影響拡大
キャピタル・エコノミクスは今週出した調査ノートで、新型肺炎の流行を受けて企業活動停止期間の延長を通知した中国の14の省・都市は国内総生産(GDP)の約7割を占め、同国の輸出の8割を占めていると指摘。これらの省・都市には複数の製造業集積地が含まれている。
韓国の現代自動車や米テスラ、米フォード・モーター、仏PSA 、日産自動車、ホンダなど大手自動車メーカーは中国政府の通知に従い、中国の工場の操業停止延長を決めている。
欧州の航空機大手エアバスは、天津市にある完成機工場の操業停止を延長したと発表。
事情に詳しい関係者によると、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>は来週、中国の工場の操業を「段階的に」再開することを目指しているが、フル稼働状態に戻るには少なくとも1週間から2週間かかる可能性がある。
独スポーツ用品大手アディダスは5日、中国で展開する「かなりの数」の店舗を一時的に閉鎖すると発表した。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は5日、「米中貿易戦争の恐れは後退したようにみえるが、新型コロナウイルスの感染拡大で不確実性が高まっている」と述べた。
*内容を追加しました。
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