「生理ちゃんバッジ」に中国人が賛成だった理由
日本人からは拒否反応が多く出た「生理ちゃんバッジ」だが(「生理ちゃん」と大丸梅田店の特設サイトより)
<大炎上し、着用取りやめとなった大丸梅田店の取り組み。同じ東アジアでも中国人の見方はこうも違う>
「『生理ちゃんバッジ』、かなり話題になっていますね」
「そうですね。でも大騒ぎになったから回収しました」
「着けたことありますか」
「もちろん。生理ちゃんのキャラクター側を表に出したことはないですけど」
先日、大阪のデパート大丸梅田店5階にある「michi kake(ミチカケ)」へ買い物に行った。その時の若い女性店員との会話だ。
「月のみちかけのように、あなたのリズムに寄り添う」というコンセプトのmichi kakeは女性の悩みに応える商品を扱うショップが並ぶ新しいフロア。オープンを記念して、話題の漫画『生理ちゃん』とタイアップしてさまざまなイベントを行った。
女性スタッフの「生理ちゃんバッジ」もその一環で、普段は売り場のPRロゴが描かれた面を表にするが、生理中の場合は個人の選択で『生理ちゃん』の面を表に出す。言葉にしにくい生理痛や生理の大変さを周囲に知らせ、互いに助け合って働きやすい職場づくりを実現するため、10月中旬から始まったが、紹介記事がネットに流れると「セクハラ」「気持ち悪い」と大炎上した。
中国人にとっての「生理」
中国人の目にこの問題は日本の世論とは反対に映る。
私の中国人の友人はみな男女を問わず「生理ちゃんバッジ」企画に賛成した。理由は「強制ではなく、個人の自由選択で決めること」だから。中国社会に生理についてそれほど口に出しにくい空気はない。スーパーでガールフレンドのために生理用ナプキンを買う男性も時々見掛ける。
女子生徒のために「月経カード」を作る学校もある。生理痛のとき、カードに記入するだけで月3日間の休暇が取れる。また国の「女性従業員労働保護条例」の中に、「生理期間は高所作業や低温作業、過度な肉体労働などを禁止」と明記されている。生理痛がひどいときは、病院の証明書があれば有給休暇も取れる。証明書がなくても有給休暇が取れる地方もある。
中国では生理休暇のことを「例假」と言う。「例の休日」という意味だ。ただし今の中国は激しい競争社会なので、「例の休日」を利用する女性は極めて少ない。たくさん休みを取る社員はどの会社にとっても好ましくないからだ。
中国の女性優遇措置は毛沢東が広めた男女平等思想とはあまり関係がなく、伝統的な中医学(漢方医学)思想による。生理中の働き過ぎや、体を冷やすことは深刻な病気につながるという考えだ。