米、ウクライナへの情報支援を停止 和平交渉へ圧力強化

ラトクリフ中央情報局(CIA)長官は5日、トランプ米大統領がウクライナへの軍事支援に続き、情報活動支援も停止するよう命じたことを明らかにした。写真は1月、米ホワイトハウスで撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard)
[ワシントン 5日 ロイター] - ラトクリフ米中央情報局(CIA)長官は5日、トランプ大統領がウクライナへの情報支援を停止するよう命じたと明らかにした。米政権は今週に入り対ウクライナ軍事支援も一時停止しており、和平交渉開始に向け、ウクライナに対する圧力を強める格好だ。
ラトクリフ長官はFOXビジネスの番組で、ウクライナのゼレンスキー大統領の対応を促した「軍事面と情報面での一時停止」はいずれ解除されるという考えを示した。「和平交渉を前進させるために、世界をより良い状況にする必要がある」とも述べた。
情報筋によると、ロシアの軍事標的に関するデータなど「全て」の情報の共有が停止された。一方、別の情報筋は「部分的な」停止としており、どの程度の情報支援が停止されたかは不明だ。
米国は先週行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談が決裂したことを受け、3日に軍事支援の一時停止した。ゼレンスキー氏は5日、米国との協力関係に「前向きな進展」があったとし、近く両国間の新たな会談が実現する可能性があると述べた。
ホワイトハウスのレビット報道官は、ウクライナへの軍事支援を一時停止について政府が再考しており、両国間の鉱物資源に関する協定を巡る協議も継続していると明らかにした。
専門家は、米による情報支援の停止によって、ロシアとの紛争におけるウクライナ軍の戦闘能力が著しく低下する可能性があると指摘。ウクライナ国立戦略研究所のミコラ・ビエリエスコフ研究員は、ロシアの攻撃に「対応する時間は少なくなり、破壊は拡大し、犠牲者も増える可能性があり、ウクライナは極めて弱体化するだろう」という認識を示した。
ウォルツ米大統領補佐官(国家安全保障担当)は記者団に対し、米国は「一歩身を引き」、ウクライナとの情報関係における「あらゆる側面を見直している」と語った。同時に、米国はウクライナとの鉱物資源協定およびロシアとの和平交渉の可能性を前進させるために取り組んでいるとも述べた。
また、FOXの番組で「和平交渉に向けて前進し、信頼醸成に向けた措置を検討できるようになれば、トランプ大統領は対ウクライナ支援一時停止の解除を真剣に検討するだろう」と語った。