トランプ弾劾は可能か? 見解分かれる法学者、下院司法委で議論開始
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米議会下院司法委員会は4日、トランプ大統領(共和党)のウクライナ疑惑を巡る弾劾手続きで憲法学者らを招き公聴会を開いた(2019年 ロイター/LOREN ELLIOTT)
米議会下院司法委員会は4日、トランプ大統領(共和党)のウクライナ疑惑を巡る弾劾手続きで憲法学者らを招き公聴会を開いた。民主党が招いた法学者3人はトランプ氏の行動は職権乱用や議会妨害、司法妨害などに当たるとし、弾劾可能との見解を示した。
共和党が招いた法学者は、民主党が主導する弾劾調査は「ずさん」で「急場しのぎ」的なもので、問題とされている出来事に直接触れている人物からの証言を得ていないと指摘。これまでに集められた証拠はトランプ氏が「明確な犯罪行為」を行ったことを示すものではないと述べた。
トランプ氏に対する弾劾調査で問題となっているのは7月25日に行われたウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談。来年の大統領選で再選を目指すトランプ氏が職権を利用し政敵バイデン前副大統領(民主党)を捜査するよう圧力をかけた疑いが持たれている。
この日の公聴会は下院司法委としては初めてのもの。前日は下院情報特別委員会が、トランプ氏が来年の大統領選再選を狙って外国の選挙干渉を求めたほか、国家安全保障を危険にさらし、議会妨害も指示したと非難する弾劾調査報告書を公表。同委員会は報告書を13対9の賛成多数で承認した。
トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するために訪れていたロンドンで、下院情報特別委の弾劾調査報告書は「冗談」だとし、民主党に対し「米国を愛しているのだろうか」と述べた。
この日の公聴会では、民主党が招いたハーバード大学のノア・フェルドマン教授が、18世紀に憲法が起草された時、草案者は「現職の大統領が職権を乱用して大統領選の結果を自身に有利になるよう歪める」と懸念していたとし、トランプ氏の行動はまさにこの懸念を体現すると指摘。「個人的な利益のために職権を乱用する大統領を弾劾できなければ、われわれは民主主義の国に住んでいるとは言えない。君主主義、もしくは独裁主義の下で暮らしていることになる」と述べた。
スタンフォード大学のパメラ・カーラン教授は、トランプ大統領が外国に対し米選挙に介入するよう要請することで職権を乱用したとし、トランプ氏の行動は憲法の下で贈収賄と解釈されるとの見解を表明。トランプ氏のウクライナに対する要求は贈収賄に当たるかとの質問に対し、「その通りだ」と答えた。