最新記事

動物

人間はネコの表情を読み取れるか? あなたも試せる......調査結果が発表される

2019年12月4日(水)18時15分
松岡由希子

あなたはネコの表情が読み取れる? Azaliya -iStock

<カナダの大学の研究チームが、85カ国6329人を対象に、ネコの顔の表情から、精神状態がポジティブなのか、ネガティブなのかを推測させるオンライン調査を実施した......>

ネコは、一見、ポーカーフェイスで、どこか謎めいているのも魅力のひとつだが、実は、微妙な表情で、ポジティブな気持ちやネガティブな気持ちを表現している。では、私たちは、ネコの気持ちをその表情から読み取れるのだろうか。

女性、若い人のほう正答率が高かった......

カナダ・ゲルフ大学の研究チームは、85カ国6329人を対象に、ネコの顔の表情から、精神状態がポジティブなのか、ネガティブなのかを推測させるオンライン調査を実施し、2019年11月4日、その調査結果を科学雑誌「アニマル・ウェルフェア」で公開した。

この調査では、ネコの顔の部分のみが映し出されたショートムービーが用いられた。回答者は、設問ごとにショートムービーを再生し、ネコの表情から、「ポジティブな気持ち」、「ネガティブな気持ち」、「わからない」のうち、いずれかの答えを選ぶ。

平均正答数は20問中11.85問で、正答率は60%未満にとどまった。女性のほうが男性よりも正答率が高く、若い人のほうが年長者よりも正答率が高い。一方、ネコを飼っているなど、ネコとの接触があるかどうかによって、正答率に違いは認められなかった。

回答者のうちの13%は、15問以上を正答し、正答率は75%以上であった。研究チームは、この正答率の高いグループを「キャット・ウィスパラー(ネコと心が通じ合う人)」と名付けている。

「キャット・ウィスパラー」に該当する人は、男性よりも女性のほうが多く、獣医や動物看護師も多かった。毎日、多数のネコに対応する獣医療従事者は、ネコの痛みや病気を特定したり、噛まれたり引っ掻かれたりしないようにするため、ネコの微妙な表情に注意する必要がある。それゆえ、ネコの感情を読み取るスキルが磨かれているのだろう。

訓練によって高められる余地はある

研究チームは、一連の調査結果から「ネコは、私たち人間と同様、精神状態によって異なる顔の表情があり、人間は、ネコの微妙な表情から感情を読み取ることができる」と考察。人間にとってネコの感情を読み取ることは簡単ではないが、訓練によって高められる余地はあるという。ネコの表情から感情を読み取ることができれば、飼い主がネコとの関係を深めたり、獣医療従事者がネコの健康管理などをより効果的に行うことができるだろう。

matuoka1204b.jpg

研究チームの公式ウェブサイトでは、このオンライン調査の簡易版「アニマル・ウェルフェア」が公開されている。あなたは、ネコの気持ちを正しく読み取ることができるだろうか。関心のある人は、一度、このクイズに挑戦してみてはいかがだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

焦点:経済対策要求、参院選にらみ与野党で林立 規模

ワールド

ベトナム政府、トランプ関税回避へ中国製品の取り締ま

ビジネス

英中銀、6億ポンド規模の長期債入札を延期 市場の混

ワールド

米国の天然ガス、今年は生産と需要が過去最高に=EI
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が見せた「全力のよろこび」に反響
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 10
    右にも左にもロシア機...米ステルス戦闘機コックピッ…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    ロシア黒海艦隊をドローン襲撃...防空ミサイルを回避…
  • 8
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 9
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 10
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中