トイレ掃除・下水検査など4億人近くが失職? ロボットが変える「3K労働」
「汚い、きつい、危険」──。いわゆる3K労働が敬遠されがちなのは、日本に限った話ではない。米国のリサイクル処理場では年々、作業員の人材確保が困難になりつつあり、現場ではロボットを導入する動きが加速している。写真はアルパインごみ・リサイクル処理場(米コロラド州デンバー)に導入されたごみ分別ロボットの「クラーク」(2019年 ロイター/ロイターTV)
「汚い、きつい、危険」──。いわゆる3K労働が敬遠されがちなのは、日本に限った話ではない。米国のリサイクル処理場では年々、作業員の人材確保が困難になりつつあり、現場ではロボットを導入する動きが加速している。
米コロラド州デンバーにあるアルパインごみ・リサイクル処理場は、2年前にごみ分別ロボットの「クラーク」を導入した。
製造元のAMPロボティクスによると、このロボットが1分間に仕分けするごみは80個。一方、人間は100個を処理できるという。しかし、人間はすぐに疲れて1分間で40個のペースに落ちるが、ロボットは同じ速度で週7日、24時間稼動する。
クラークに現在与えられている業務は、牛乳パックを振り分けることだ。ごみが流れてくるベルトコンベヤーをカメラでスキャンし、リサイクルする素材をソフトウェアが判別、目標を定め、吸引し、取り出す。
AMP社は値段を明らかにしていないが、たくさんのセンサーと技術が詰まったクラークは安くはない。
それでも、アルパイン・リサイクリングのブレント・ヒルダ―ブランド副社長は2台目を導入する準備ができているという。この仕事を請け負う人材を見つけるのが困難になっているからだ。
「私たちはこの技術の先駆的導入者で、全米で初めて採用した会社だと思う」と、ヒルダ―ブランド副社長は胸を張る。「コストが高いことは認識している。それでも、この国のどのシステムにとっても素晴らしい投資だと言える」
AMPロボティクスは現在、世界10数カ所のリサイクル施設にロボットを提供している。開発したマタニヤ・ホロウィッツ氏は、汚れる仕事に就くロボットを開発するのは大変だと語る。
「調整や手入れ、バグ修正などのために(ごみ処理)施設で長時間過ごす必要がある」とホロウィッツ氏。「アルパイン社では0度近い寒さの中で座ってプログラミングをしなければならなかった。その上、腐ったミルクが飛んできて顔にかかったりした」と語った。