トイレ掃除・下水検査など4億人近くが失職? ロボットが変える「3K労働」
3億人以上が職を追われる
そもそも人間にとって、極度に有害な仕事が近ごろ誕生している。例えば、都市住民の健康状態を知るために下水を分析するといった作業だ。
棒の先にバケツをつけて下水を採取していたマサチューセッツ工科大学(MIT)センサブル・シティー・ラボのカルロ・ラッティ教授は、汚水が体にかかることにうんざりし、同僚の研究者たちに助けを求め、「ルイージ」の開発に至った。
ルイージは今やボストン、ソウル、ケンブリッジ、クウェート市で下水採取を行い、研究者らはそれを分析することで、インフルエンザが流行する兆しがあるか、米国ではオピオイド系鎮痛剤の摂取が上昇傾向にあるか、リアルタイムで知ることができる。
ルイージが排泄物を採取する一方、「ピーナツ」はそれを掃除してくれる。
カリフォルニア大学バークレー校で生まれたピーナツは、まだ開発段階。ピーナツ・ロボティクス社によると、準備が整い次第すぐ市場に投入し、年内にはホテルチェーンのレッドライオン・ホテルで仕事に取り掛かると予定だという。
「洗剤は漂白剤がベースで、そうした薬品に毎日触れるのは危険だ」と、ピーナツ・ロボティクスのジョー・アウゲンブラウン最高経営責任者(CEO)は言う。「便器を床に固定するボルトの周りなどは毛やチリがたまりやすく、そこを掃除するには四つん這いになって便器に顔を近づけなければならない。非常に不快な作業だ」
コンサルティング会社マッキンゼーによると、2030年までに業務の自動化によって転職を余儀なくされる人は3億7500万人に上る。その一方で、ロボットを管理するなど、新しい仕事も発生するとみられる。
ロボットに使われる主要部品の価格が下がり、人工知能(AI)ソフトの能力が向上するなか、そうした未来はすぐそこに迫っている。トイレブラシをピーナツのようなロボットに譲り渡す日は近いだろう。
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