選挙で与党が全議席獲得!? カンボジア下院選、野党弾圧で海外から批判
8月15日、カンボジアで7月29日に実施された下院選(定数125)で、与党のカンボジア人民党が全議席を獲得した。写真はカンボジア人民党のポスター。プノンペンで7月撮影(2018年 ロイター/Pring Samrang)
カンボジアで7月29日に実施された下院選(定数125)で、与党のカンボジア人民党が全議席を獲得した。中央選挙管理委員会が15日発表した。野党は選挙結果の結果が違法だと主張しているほか、米国は反民主活動を行った個人へのビザ制限を拡大すると示唆した。
人権団体は、同国で30年以上政権の座に就いているフン・セン首相には有力な対抗馬がおらず、選挙は自由と公正さを欠いたとみている。
唯一の有力野党だったカンボジア救国党は昨年、「政府転覆計画に関与した」とするフン・セン首相の訴えを最高裁が認めたため、解党。党員118人は5年間、政治活動を禁止された。ケム・ソカー党首は9月に反逆罪で勾留され、引き続き公判前勾留の状態にある。
当局は選挙前に、非政府組織(NGO)や人権団体、独立系メディアに対しても取り締まりを行った。
選管の広報担当者はロイターに対し、人民党は690万票中480万票を獲得したと説明した。
第2位は、ノロドム・ラナリット王子が率いるフンシンペック党で37万4510票だった。王子はかつてフン・セン氏の最有力のライバルだったが、現在は協力関係にある。
救国党の副党首で海外亡命中のMu Sochua氏は、新しい議会は合法ではないと主張。「人民党は、民主的に選出された政府により拒否された偽りの選挙を通じ、国家全体に関するすべての決定をたった1人が下す一党独裁制へとこの国を導こうとしている」と批判し、「不正選挙は、合法的な議会を成立させることはできない」と糾弾した。
選管によると、投票率は83%で前回2013年時の69.6%を上回った。