知られざる鉄道ファンの聖地ジャカルタ──日本からの中古車両が活躍
インドネシアが日本の主要車両を導入した背景には、インドネシアの在来線の線路幅が日本と同じ狭軌だったこともある。日本の多くの在来線が狭軌とよばれる1067mmの線路幅で、新幹線や一部単体私鉄や地下鉄は、標準軌(1435mm)となるが、JRなど日本のほとんどの線路は狭軌だ。
現在、世界的には標準軌がメジャーだが、鉄道創世記19世紀初期から半ばにかけて敷設した国は、当時の財政的な問題や地形要因で狭軌を採用した国が多かった。
一方で、20世紀になってから鉄道建設を行った国は、当時世界の主流となっていた標準軌を採用している。日本の周辺だと朝鮮半島(韓国と北朝鮮)、旧満州、大連などは最初から標準軌で建設されている。そのため、朝鮮半島から中国は現在でも同じ車両で移動することができる。
「ジャカルタへ日本の中古車両が導入され始めて20年経ったので整備も改良技術も向上し、しっかりとローカル化して個性を出し始めているので撮り鉄としては撮りがいがありますよ」(前出の中村さん)
座席はふかふかだが...
その一方、地元のインドネシア人からはこんな声も。
「座席はふかふかで乗り心地はいいのですが、朝晩のラッシュ時はホームから落ちそうなくらい混むのでとても乗れません。車内にはスリも多く大抵の人が被害にあっています。私は渋滞はひどいですが乗り合いのタクシーで通勤しています」(日系自動車メーカー勤務のエルナさん)
ジャカルタの電車は「鉄ちゃん」にとっては聖地でも、地元の利用者にとってはまだまだ改善の余地がありそうだ。