南シナ海人工島に中国の「街」出現 周辺国の心配よそに軍事拠点化へ
最近の西側情報機関による報告について説明を受けた関係者によれば、外国軍の艦艇および航空機に対して、中国海軍艦艇およびファイアリークロス礁上の監視哨から所属を問う警告無線が入るパターンが激化しているという。
オーストラリア当局者は最近、ベトナムに向かう途上で南シナ海を航行する同国海軍艦艇3隻に対して、中国側から「強硬だが礼儀正しい」警告があったと発表した。
情報筋によれば、中国軍と外国軍の間のこのようなやり取りは、一般に知られているよりもはるかに頻繁に生じているという。
西側諸国による最近の安全保障報告に詳しい人物がロイターに語ったところでは、「南シナ海のかなりの範囲において、そうしたやり取りは例外ではなく常態となっている」という。
域内の軍関係者や専門家によれば、インド、フランス、日本、ニュージーランド、そして領有権争いの当事国であるベトナム、マレーシア、フィリピンの艦艇・航空機も、やはり同じような警告を受けている。
中国側が主張する「軍事警戒圏」には国際法上、軍事慣例上の根拠が何もないため、自艦が航行しているのは公海であり、そのままの針路を維持すると他国の海軍将官らは常々強調している。
中国の安全保障専門家である香港・嶺南大学の張泊匯教授は、中国政府は、戦闘機の常駐などの攻撃的な動きには慎重になる可能性が高いとみる。
「今や島が完成した以上、中国政府の次の動きには、ある程度の慎重さが出てくると考えられる」と同氏は指摘。「本土から非常に離れた場所で、あれだけのプレゼンスを維持することは大変な事業だし、部隊やジェット戦闘機の配備は、近隣諸国にとっては、まさに一線を越えた行為となる」
米軍当局者は、かつては近隣諸国が優位に立っていた地域に中国が軍事力を投射するうえで、南シナ海の基地はすでに貢献していると警告し、偶然に委ねるわけにはいかないと主張する。
デービッドソン大将は先月の議会証言の中で、「要するに、ほとんど対米戦争に近いシナリオのもとで、中国は今や南シナ海を支配する能力を持ちつつある」と語った。
(翻訳:エァクレーレン)
[香港/シンガポール 24日 ロイター]