南シナ海人工島に中国の「街」出現 周辺国の心配よそに軍事拠点化へ
迫る試練
ホワイトハウスは今月、中国が進める南シナ海での軍備拡張について警戒を強めていると発表。これに先立ってCNBCは、スービ、ミスチーフ、ファイアリークロス各礁に、対艦巡航ミサイル、地対空ミサイルのシステムが配備されたと報じていた。
中国は18日、「南シナ海を巡る戦い」への準備として、島嶼・環礁の一部において、爆撃機の離着陸訓練を実施したことを明らかにした。
一部の米国人専門家は、人民解放軍の写真からは、爆撃機がパラセル諸島のウッディー島に着陸しているように見えると指摘しているが、人民解放軍側は、スプラトリー諸島の拠点に航空機が実際に着陸したことをまだ証明していない。
米国防総省は23日、中国政府が南シナ海で島嶼の軍事化を続けていることを理由に、大規模海上軍事演習への中国の参加を求める招待を撤回した。
次期米太平洋軍司令官に指名されているフィリップ・デービッドソン海軍大将は先月、スプラトリー諸島における中国の基地はすでに完成しており、部隊がまだ派遣されていないだけだと述べた。
デービッドソン大将は米議会の委員会において、「これらの島嶼にどのような部隊が派遣されようとも、領有権を主張する他の国々の軍事力を簡単に上回ってしまうだろう」と述べた。
これまでのところ、中国が建設した人工島の近海を米軍艦艇が航行を繰り返し、またこの水域への各国海軍の展開も増えているにもかかわらず、中国政府の計画に対する明確な影響はほとんど見られない。
「西側諸国の間では、新たな戦略が必要だという切迫感がある」と複数国間での協議に詳しい西側の上級外交官は言う。「たとえ一時的にせよ[中国側の]ジェット戦闘機が配備されれば、足並みのそろった対応が欠落していることが厳しく問われることになろう」
すでに中国の大型強襲揚陸艦その他の艦艇が、ファイアリークロス、スービ、ミスチーフ礁の本格的な海軍用埠頭を利用している。領有権紛争が白熱する水域全体にわたり、他国の海軍将校らの言う「事実上の恒久的なプレゼンス」があることを示している。
中国軍は、彼らが実効支配する島嶼を利用して、中国海軍将校らが他国海軍に対して「軍事警戒圏」と宣言する水域の監視活動を行っている。だがこの「軍事警戒圏」という言葉は曖昧であり、アジア・西側諸国の軍当局者は、国際法においては何ら根拠がないとしている。