東野圭吾や村上春樹だけじゃない、中国人が好きな日本の本
「中国」「日本」という枠を超え、「私」という個人の空間としての「東京」がそこにある。昨年8月の初版5万部からじわじわ増刷を重ね、年末には15万部に。小冊子の付録で読める「雨男」という短編では日本人男性と中国人女性の恋を描く。
普遍的な真理を求めて
中国を代表するニーチェ研究者で哲学者の周国平(チョウ・クオピン)による『我喜歓生命本来的様子』(私は生命本来のありさまを好む)は生命、愛、魂について、「いかによりよく生きるか」というごくまっとうなことが、端正な文章でつづられた散文集である。「人は自分の運命を支配することはできないが、自分の運命に対する態度を支配し、自分に降りかかる逃れられない巡り合わせを心穏やかに引き受けることはできる」
筆者にとって約15年前、翻訳者としてのデビュー作が周の作品だった。彼が毎年のように発表する著作は常にベストセラー。目まぐるしく変化する中国で、中国人の心に語り掛ける、いつも変わらないものがここにある。
誰もがエネルギッシュに見える中国人も、疲れてふと立ち止まることがある。まっとうな言葉に向き合い、自分を見つめ直したくなるのが、普遍的な真理を教えてくれるこうした賢者の言葉や、不朽の名作の力なのだろう。
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