最新記事

トランプ政権

ティラーソンが去り、また軍人がやって来る

2017年12月9日(土)15時15分
ロビー・グレイマー、ダン・デ・ルース、ジェナ・マクラフリン

ティラーソン(左)はトランプを「間抜け」と呼んでいた? Kevin Lamarque-REUTERS

<噂されているティラーソン米国務長官の更迭が現実味を帯びてきた。後任候補のCIA長官はやはりタカ派の元軍人>

退任説がくすぶり続けてきたティラーソン米国務長官が、いよいよ更迭されるかもしれない。

11月30日のニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、トランプ大統領は後任にポンペオCIA長官を、CIA長官の後任にコットン共和党上院議員を充てる意向だという。

下院議員を3期務めたポンペオはCIA長官に起用されて以来、トランプと良好な関係を築いている人物だ。ホワイトハウスの大統領執務室で定期報告を直接行い、国家安全保障上の重要な決定にも大きな影響力を持ってきた。コットンも、大統領と考えの近い保守派の政治家として知られる。

ティラーソンが政権を去り、ポンペオとコットンの影響力が強まれば、アメリカの対外政策はより攻撃的なものになりかねない。特に、対イラン政策はその可能性が高い。ポンペオは下院議員時代に、イランの体制打倒に向けて議会が行動すべきだと主張しているし、コットンも6月に、イランの体制転覆を米政府の目標として明確に設定すべきだと述べていた。

それに対し、ティラーソンは穏健な立場を取り続け、15年のイラン核合意の維持と、外交的手段による問題解決を訴えてきた。北朝鮮問題でも、トランプの過激な発言とのバランスを取ろうとしてきた(その試みは、トランプ自身によって度々、そして公然と覆されてきた)。

軍事への傾斜が強まる?

国務長官就任後のティラーソンは、試練の連続だった。幹部職員が大量に国務省を去った上、国務省改革は順風満帆には程遠い。外交上の失態も相次いだ。夏にはサウジアラビアとカタールの外交危機を仲介しようとしたが、ホワイトハウスと足並みがそろわなかった。北朝鮮問題の外交的解決を主張したときも、トランプにあざ笑われた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル中銀理事ら、5月の利上げ幅「未定」発言相次

ビジネス

米国向けiPhone生産、来年にも中国からインドへ

ビジネス

フィッチ、日産自の格付けを「BB」に引き下げ アウ

ビジネス

世界経済巡るトランプ米大統領の懸念を「一部共有」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中