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保存版 北朝鮮の歴史北朝鮮は1960年代から核保有国への野望を抱いていた
Newsweek Japan (KCNA-Reuters)
<ニューズウィーク日本版11月21日発売号(2017年11月28日号)は、不可解過ぎる「金王朝」を歴史で読み解く「保存版 北朝鮮の歴史」特集。この特集から、北朝鮮の核・ミサイル開発の歴史を辿った記事を転載する>
韓国も実は1970年代に、独自の核武装をもくろんでいた。しかし、計画を知ったアメリカに止められる。その間、朝鮮半島の北側でもひそかに核開発の準備が進められていたらしい。
北朝鮮の核計画が明らかになったのは90年代だが、60年代には既に核開発の意図を持っていたという説がある。56年、北朝鮮は既に研究と人材育成のため、ソ連の核研究所に科学者を送り込んでいた。80年代には平壌北方の寧辺に建設した実験用原子炉が臨界に達している。核兵器の製造につながるタイプの原子炉、黒鉛減速炉だ。
94 年の米朝枠組み合意で核開発の放棄を約束したものの、金正日に核を諦める気はなかったようだ。秘密裏に開発を続け、2006年10月には初の核実験に成功した。核開発は金正恩の時代に入ってスピードアップし、16 年1月の4回目の核実験は「水素爆弾だった」と発表。17年9月の6回目も水爆で、広島に投下された原子爆弾の10倍以上の爆発規模160キロトンだったとみられている。
既に「核保有国」になったともいえる北朝鮮だが、もう1つ必要なのが核弾頭を飛ばすためのミサイルだ。朝鮮戦争以来の敵国アメリカに「金王朝」の保障を約束させるには、米本土に到達し、脅威を与えられるICBM(大陸間弾道ミサイル)が欲しい――。
ミサイル開発の歴史は、70年代にさかのぼる。76年にソ連製の短距離ミサイル「スカッド」をエジプトから購入したのが始まりで、84年には国産の短距離ミサイル「火星(ファソン)」を製造していたとみられる。
その後は、「ノドン」「ムスダン」「テポドン」と開発を進め、射程を伸ばしていく。発射実験の数も増えていった。17年8月と9月に発射された中距離弾道ミサイル「火星12」(推定射程4500~5000キロ)、17年7月のICBM「火星14」(推定射程9000~1万キロ)と、性能も向上しているようだ。
北朝鮮は現在、さまざまな性能のミサイルを1000発以上保有しているとみられる。さらには近い将来、小型の核弾頭を搭載したミサイルをアメリカ本土に撃ち込める能力を手にすると専門家は予測する。
だがその先に待っているのが、金正恩が切望する体制保障なのかは分からない。
【参考記事】【年表】北朝鮮:建国から6回目の核実験まで(1948-2017)
【参考記事】「テロ支援国家」北朝鮮が起こした蛮行の数々
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