中国、不戦勝か――米「パリ協定」離脱で
そのため、(EUとは通商交渉で難航し共同声明を出すには至ってないが)EU首脳との会談で気候変動への技術革新に関しては「EUと中国の関係こそが柱になっていく」との認識を共有した。
特に今年は中国-EU関係樹立40周年記念に当たり、互いの首脳シャトル外交も18回目になる。国際社会における後退をアメリカが自ら選択したことにより、EUとの関係においても世界第二の経済国である中国はその存在感をアピールする結果を招いた。
クシュナー氏のロシアゲート疑惑が影響か
5月29日付のコラム「駐米中国大使とも密通していたクシュナー氏」でも触れたように、キッシンジャー元国務長官や中国政府に洗脳されてしまったイヴァンカ夫妻、特にクシュナー氏は、ロシアゲートに関してFBIから名指しで調査対象とされており、トランプ政権にとっては痛手だろう。中国政府が背後で動くことによって、直接的にはクシュナー氏らによって政権中心から追い出された対中強硬派のバノン氏(主席戦略官)等を政権中枢に復帰させることによって、ロシアゲート疑惑を避けようと、トランプ大統領は考えたのではないかと推測する。
パリ協定離脱派にはバノン氏やプルーイット氏(環境保護庁長官)などがいて、離脱反対派にはイヴァンカ&クシュナー夫妻やティラーソン氏(国務長官)などがいる。
G7首脳会談では、ドイツのメルケル首相が、女性同士としてか、トランプ大統領に影響力を持つイヴァンカ説得を試みている。しかしメルケル首相と相性の悪いトランプ大統領は、ロシアゲート疑惑も考慮して、今回はイヴァンカ夫妻の言うことは聞かなかったものと思われる。
ロシアとのつながりによって大統領選挙を有利に持っていったのは、否定できない事実だろうと多くのアメリカ国民が思っているようだ。その疑惑をかわすことが目的だったのか、あるいはオバマ政権で決めたことは何でも覆したいという思いがあったのか。
トランプ大統領自身は選挙公約で言ったことを守るためと言い、また「私はピッツバーグ市民を代表して選ばれたのであり、パリ市民を代表していない」と、鉄鋼業の衰退に苦しんだピッツバーグの労働者に寄り添う姿勢を強調してみせた。しかし肝心のピッツバーグ市長は、「ピッツバーグは世界とパリ協定を支持する」と反論した。