最新記事

日韓関係

国民は慰安婦合意を受け入れられず 文大統領、安倍首相に

2017年5月11日(木)23時13分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

韓国の文在寅大統領は安倍首相との初の電話会談で「国民は慰安婦合意を受け入れていない」と語った stringer-REUTERS

<韓国の第19代大統領に就任した文在寅は、朴槿惠前大統領の一連の疑惑のために停滞した国政を再起動させるべく就任当日夜の米トランプ大統領に続き、11日には安倍首相とも電話会談を行った。日韓両首脳は、北朝鮮問題へ連携して対応する協力関係を発展させることで同意したものの、慰安婦合意については両者の考えの違いが浮き彫りになった──>

朴槿惠(パク・クネ)前大統領が、長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)に国政に関する情報を渡し、さらに共謀して企業からの賄賂を受け取っていたという一連の疑惑が明らかになったのが昨年11月。それ以来、韓国の政治は舵取り役が実質的に不在となり、特に外交面では大きく停滞してきた。

この間、北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返し、駐韓米軍はパク前大統領との合意をもとに、北のミサイルへの抑止力として高高度迎撃ミサイル(THAAD)を韓国東南部の星州に配備。こうした動きに対して中国は、THAADが北朝鮮を超えて中国までを射程にすることへの懸念から強く反発し、中国市場における韓国製品の閉め出しや、韓国旅行の販売停止など経済的な圧力を高めてきた。

また日本との関係でも、昨年12月末に釜山の日本総領事館裏に民間団体が慰安婦問題を象徴する少女像を設置してから、日本側は2015年の「慰安婦問題に関する合意」に反するとして強く反発。1月9日には日本が長峯駐韓大使を召喚するなど韓国側に圧力をかけており、北朝鮮問題については連携してあたる必要性を感じつつも、両国関係は改善の兆しを掴めないまま現在にいたっている。

釜山の少女像については「管轄外」

10日の電話会談は、ムン・ジェインの大統領就任を祝うため安倍首相側が呼び出す形で用意された。両首脳は、日韓関係の方向性と朝鮮半島情勢、日韓の歴史問題などについて14時35分から25分間にわたって意見交換した。

韓国メディアNEWS1によれば、両首脳は日韓関係を未来志向で発展させることには同意したものの、過去の歴史問題についてはそれぞれの立場を率直に語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に

ビジネス

アングル:お茶大国中国で苦戦のスタバ、現地嗜好踏ま
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 6
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 7
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中