国民は慰安婦合意を受け入れられず 文大統領、安倍首相に
ムン大統領は「国交正常化後、半世紀の間、日韓関係は浮き沈みがないわけではないが、大きな枠組みでは両国は多様な分野で注目すべき発展を遂げてきており、今後も協力の潜在能力は無限だ」と語った。その一方、「両国が成熟した協力関係へと進むためには、過去の歴史問題など、さまざまな懸案が障害にならないよう、歴史を直視しつつ、こういった課題を真剣に取り扱わなければならない」と強調したという。
安倍首相は、このムン大統領の発言に「慰安婦合意は、未来志向な日韓関係の構築に向けて欠かすことの出来ない基盤であり、着実に履行していくことを期待する」と表明。直接的に言及はしなかったものの、釜山の日本総領事館裏に設置された少女像の撤去を示唆した。
これを受けてムン大統領は「慰安婦問題を含めた歴史問題は、我々が両国関係を発展させていくことにあたり、ともに賢明に克服していくことを望む」として「日本の指導者の方々が、河野談話、村山談話、金大中・小渕共同宣言の内容と精神を継承し、尊重する姿勢が必要だ」と強調した。
特に慰安婦問題の合意についてムン大統領は、「韓国国民の大多数が感情的に慰安婦合意を受け入れていないのが現実であり、民間で起きた問題について政府が乗り出して解決することには限界があって時間が必要だ。そのような国民の感情と現実を認めながら、両国が共同で努力することを望んでいる」と述べ、釜山の少女像の撤去についてすぐに解決するのは難しいという認識を示した。
さらにムン大統領は、「明確に申し上げたいことは、歴史問題が両国関係の未来志向的発展の足を引っぱるようなことがあってはならないという事実である。その問題は問題として双方が賢く克服できるように努力していきながら、北朝鮮の核とミサイルに対する対応と両国の未来志向的発展には、これとは別の努力を並行して行う必要がある」として、現実的な対応を呼びかけた。
韓国国内での評価は?
今回の電話会談について韓国メディアはおおむね好感をもって迎えている。
韓国メディアの聯合ニュースは、「大統領の今回の発言は、本人ではなく"国民"を主語にしたものだが、結果的に"受け入れられない"という強い表現を用いて、慰安婦合意に対する批判的な立場を明らかにしたものであり、注目される。韓国外交部が2015年の合意以降、パク前大統領が弾劾で退陣するまで継続的に『慰安婦合意順守』『誠実な履行』を強調していたのとは大きく変わった」と新政権の変化に注目した。