国民は慰安婦合意を受け入れられず 文大統領、安倍首相に
韓国の文在寅大統領は安倍首相との初の電話会談で「国民は慰安婦合意を受け入れていない」と語った stringer-REUTERS
<韓国の第19代大統領に就任した文在寅は、朴槿惠前大統領の一連の疑惑のために停滞した国政を再起動させるべく就任当日夜の米トランプ大統領に続き、11日には安倍首相とも電話会談を行った。日韓両首脳は、北朝鮮問題へ連携して対応する協力関係を発展させることで同意したものの、慰安婦合意については両者の考えの違いが浮き彫りになった──>
朴槿惠(パク・クネ)前大統領が、長年の友人、崔順実(チェ・スンシル)に国政に関する情報を渡し、さらに共謀して企業からの賄賂を受け取っていたという一連の疑惑が明らかになったのが昨年11月。それ以来、韓国の政治は舵取り役が実質的に不在となり、特に外交面では大きく停滞してきた。
この間、北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返し、駐韓米軍はパク前大統領との合意をもとに、北のミサイルへの抑止力として高高度迎撃ミサイル(THAAD)を韓国東南部の星州に配備。こうした動きに対して中国は、THAADが北朝鮮を超えて中国までを射程にすることへの懸念から強く反発し、中国市場における韓国製品の閉め出しや、韓国旅行の販売停止など経済的な圧力を高めてきた。
また日本との関係でも、昨年12月末に釜山の日本総領事館裏に民間団体が慰安婦問題を象徴する少女像を設置してから、日本側は2015年の「慰安婦問題に関する合意」に反するとして強く反発。1月9日には日本が長峯駐韓大使を召喚するなど韓国側に圧力をかけており、北朝鮮問題については連携してあたる必要性を感じつつも、両国関係は改善の兆しを掴めないまま現在にいたっている。
釜山の少女像については「管轄外」
10日の電話会談は、ムン・ジェインの大統領就任を祝うため安倍首相側が呼び出す形で用意された。両首脳は、日韓関係の方向性と朝鮮半島情勢、日韓の歴史問題などについて14時35分から25分間にわたって意見交換した。
韓国メディアNEWS1によれば、両首脳は日韓関係を未来志向で発展させることには同意したものの、過去の歴史問題についてはそれぞれの立場を率直に語った。