最新記事

アジア

クーデター後初のタイなど、4つのアジア注目選挙

2017年1月25日(水)06時35分
ミレン・ギッダ

Bobby Yip-REUTERS

<タイ、韓国、香港、中国――目が離せない2017年の重要選挙> (写真:行政長官候補らの肖像を掲げる香港の民主化デモ)

 昨年のアジアでは劇的な変化をもたらす選挙や投票があった。台湾は1月に初の女性総統を、軍政を終わらせたミャンマー(ビルマ)は3月に54年ぶりの文民大統領を選出。5月のフィリピン大統領選では、物議を醸す言動で人気のロドリゴ・ドゥテルテが勝利を収めた。

 今年も重要な選挙は続く。その4カ国を見てみると......。

【参考記事】欧州の命運を握る重大選挙がめじろ押し

***

■今年末 タイ総選挙

 タイでは14年のクーデターでインラック首相が追放されて以来、軍が実権を握っている。その軍事政権が起草した新憲法案が国民投票で承認されたのが昨年8月のこと。これを受けて軍政は、民政復帰に向けた総選挙を今年末に行うと発表した。

 憲法案は軍の影響力をさらに強化する内容だ。軍政が実質的に上院議員を任命する権限を持ち、首相は下院議員でなければならないという旧憲法の規定を削除。非民主的という批判が出ている。

 昨年11月にはプラウィット副首相が、選挙が国に損害をもたらすなら実施しないとも発言。予定どおりに実施するという政府報道官の声も報じられているが、何とも先行きは不安だ。

【参考記事】タイ軍政の世論懐柔は 「幸福」が売り

■年内 韓国大統領選

 昨年12月、議会が朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴追案を可決。憲法裁判所がその可否を審理し、遅くとも6月までに結論を出す。弾劾が決まれば、60日以内に大統領選が行われる。

 たとえ罷免されなくても、朴は憲法の規定上再出馬できない。後釜を狙う候補は3人で、最も支持率が高いのは12年の大統領選で朴に負けた文在寅(ムン・ジェイン)だ。潘基文(バン・キムン)前国連事務総長も事実上、出馬を宣言した。そして「韓国のトランプ」と支持者に呼ばれる李在明(イ・ジェミョン)。主張は米民主党のバーニー・サンダースに近いが、支持率の急上昇と物議を醸す発言はトランプ米大統領の選挙戦と似ている。

【参考記事】「大統領弾劾」の余波が日韓の雪解けを直撃する

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

自閉症、原因は「環境毒素」 米厚生長官が主張

ビジネス

北尾SBI社長、フジ経営改革に意欲 「敵対なら徹底

ビジネス

米関税、経済は下押しだが物価は上下双方の影響=中川

ワールド

EU、人権「安全国」にエジプトなど追加 難民申請却
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 3
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 6
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 7
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 10
    金沢の「尹奉吉記念館」問題を考える
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 6
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 9
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中