クーデター後初のタイなど、4つのアジア注目選挙
■3月26日 香港行政長官選挙
香港の最高責任者である行政長官は、各界を代表する「選挙委員会」が選出する仕組み。委員1194人の選出には中国政府の意向が反映され、親中派の人物が多く選ばれる。
だが、中国に忠実な現職長官の梁振英(リアン・チェンイン)を嫌う香港市民は多い。14年には中国に抗議する学生主体の民主化デモ「雨傘運動」が起きた。
梁は今回不出馬を表明しているため、中国のお気に入り候補は新民党を率いる葉劉淑儀(イエリウ・シューイー)だ。だが世論調査で支持率トップは、14年のデモを支持する曽俊華(ツォン・チュンホア)財政官。中国が彼の出馬を妨害したりすれば、再び騒動が起きるかもしれない。
【参考記事】「民主主義ってこれだ!」を香港で叫ぶ――「七一游行」体験記
■10~11月 中国共産党大会
新たな最高指導部を選ぶ5年に1度の共産党大会が10月か11月に開催される(正確に言えば選挙ではなく会議であり、国民は投票しない)。今年の党大会は特に重要で、中国の最高意思決定機関である政治局常務委員会7人のうち5人と、常務委員を除いた政治局委員18人のうち半数が交代する。
確実なのは、習近平(シー・チンピン)国家主席と李克強(リー・コーチアン)首相が22年まで居座ること。だがその後継者、つまり将来の中国のリーダーは今年の政治局常務委員になる人物から選ばれることになる。
昨年は米大統領選の話題で持ち切りだったが、今年の注目は中国の指導部選びだろう。
【参考記事】米中、日中、人民元、習体制――2017年の中国4つの予測
[2017年1月17日号掲載]