六中全会、党風紀是正強化――集団指導体制撤廃の可能性は?
決して「人事に関する駆け引きをする場ではない」ことを認識していただきたい。
ドキュメンタリー「永遠在路上(永遠に道半ば)」――元指導者らの監獄からの肉声と顔
六中全会における「従厳治党」のテーマを人民に浸透させるために、中央紀律検査委員会宣伝部とCCTV(中央テレビ局)の合作で「永遠在路上」というドキュメンタリーが放映されている。
「日常生活において、党の風紀を軽視していたために、ふと気が付いたら逮捕されるところまで来ていた」というのがメインテーマだ。
中国では裁判中の被告の顔や姿を平気でテレビで露出するという、実に残酷なことを実行している。世間から「顔」を隠しようもなく、自業自得とはいえ、それでも残っているであろう最後の自尊心を思い切り傷つけ大衆にさらす。死刑よりも終身刑よりも残酷な「刑罰」だと思うが、民衆はその「苦しみにゆがんだ顔」を見たがり、「絞り出す肉声」を聞きたがる。
だから視聴率は実に高い。
習近平政権はそこを狙い、周永康や令計画など、元政権の中枢にいた指導層の肉声を通して、「いかに日常生活における党員としての心得に隙があったか、どういうことから腐敗に手を染めるようになったか」などを懺悔させるのである。
この画像をご覧になりたい方は比較的ブレが少ないこちらの「永遠在路上」をクリックなさると肉声を聞き、顔を見ることができる。
このことからも、腐敗問題に対する習近平政権のせっぱ詰まった窮状がうかがえるだろう。
集団指導体制を撤廃するのか?
「新形勢下における党内政治生活に関する若干の準則」の制定に関して注目されているのは、1980年2月に制定された「党内政治生活に関する若干の準則」の第二条に「集団指導体制を堅持し、個人崇拝に反対する」という項目があることである。
そのため、六中全会で「新形勢下における党内政治生活に関する若干の準則」の制定に関して討議するということは、集団指導体制を撤廃することを意味するのではないかという憶測が日本メディアに蔓延している。
これは、十分には中国政治の深部を理解していないことから生まれてくる誤報と言っていいだろう。