最新記事

中国共産党

六中全会、党風紀是正強化――集団指導体制撤廃の可能性は?

2016年10月24日(月)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

2013年に開催された中国共産党三中全会 Kim Kyung-Hoon-REUTERS

 24日から中国共産党六中全会が始まる。党員への監督強化と党風紀是正強化が討議される。全会は駆け引きの場ではなくハンコを捺す場だ。集団指導体制を撤廃するか否かと、獄中からの元指導層の肉声等を考察する。

六中全会のテーマ――腐敗による一党支配崩壊を回避するために

 10月23日から27日まで開催される六中全会(第6次中国共産党中央委員会全体会議)の三大テーマは「従厳治党(厳しく党を統治する)」と「新形勢下における党内政治生活に関する若干の準則」の制定および「中国共産党党内監督条例(試行)」の修訂である。そのほか、この1年間で逮捕されたり党籍をはく奪された元党幹部たちの報告と党籍はく奪などの承認を得る。次期中共中央委員会委員の補てんなどをしなければならないからだ。

「従厳治党」に関しては、第13回党大会(1987年)、14回党大会(1992年)、15回党大会(1997年)、16回党大会(2002年)と、これまで何度も討議されてはきた。

 なぜなら第11回党大会三中全会(1978年12月18日至22日)において「改革開放」を宣言して以来、社会主義市場体制の進展に伴って、党幹部の汚職が始まり、党員の堕落が一気に加速していったからだ。

 1987年の第13回党大会で討議され始めたということは、1989年6月4日の天安門事件発生の芽が、この時点ですでに予感されていたことを意味する。天安門事件により江沢民政権(1989年6月に中共中央総書記、1993年に国家主席)が始まっても、鄧小平の眼があり、「従厳治党」はしばらく続いた。

 しかし一方で、江沢民が「三つの代表」(2000年)に提唱して以来、金権政治全盛期となり腐敗が激しく蔓延した(その額やスケールなどに関しては、書名は良くないが拙著『中国人が選んだワースト中国人番付――やはり紅い中国は腐敗で滅びる』で詳述)。

 胡錦濤政権時代は、実質上、江沢民が握っていたので、胡錦濤には何もできない。

 腐敗はついに、中国共産党の一党支配体制を崩壊させる寸前まで来ていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ大統領、強制送還移民受け入れの用意 トラン

ビジネス

Temuの中国PDD、第3四半期は売上高と利益が予

ビジネス

10月全国消費者物価(除く生鮮)は前年比+2.3%

ワールド

ノルウェーGDP、第3四半期は前期比+0.5% 予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中