最新記事

トルコ

トルコのクーデター未遂逮捕者2万人、収容力不足で既存受刑者約10万人を釈放へ

2016年8月18日(木)18時55分

8月17日、トルコは、先月発生した軍の一部勢力によるクーデター未遂事件で拘束した数万人の容疑者を収容するため、3万8000人の受刑者を釈放すると発表した。写真中央は、クーデター未遂に関与した疑いで連行される軍関係者。ムーラで撮影(2016年 ロイター/Kenan Gurbuz)

 トルコは17日、先月発生した軍の一部勢力によるクーデター未遂事件で拘束した数万人の容疑者を収容するため、3万8000人の受刑者を釈放すると発表した。

 これは、約240人が殺されたクーデター未遂を受け、非常事態宣言下にあるトルコで、同日出された2つの法令において示された一連の措置の1つだ。

 トルコ政府はこうした措置の理由を明らかにしていないが、クーデター未遂以前から刑務所はすでに収容可能人数を超えていた。アナドル通信社が入手した法務省のデータによると、16日時点で受刑者の数は21万3499人で、収容可能人数を2万6000人以上も上回っている。

 クーデター未遂後の捜査では、計4万0029人が拘束され、そのうち2万0355人が正式に逮捕されたと、ユルドゥルム首相は17日明らかにした。

 発表によると、残る刑期が2年間以下の受刑者は、「監視下の釈放」が許される資格を有するが、刑期の半分を終えていなければならない。ただし、テロや殺人、暴力や性犯罪で有罪となっている受刑者は除外される。

 ボズダー法相は地元テレビ局とのインタビューで、まず3万8000人が釈放されるが、最終的には9万3000人が恩恵を受ける可能性があると語った。

「刑務所から出られて本当に幸せ。このようなことは全く予想していなかった」と、ある受刑者が同国最大の刑務所の外で記者団にこう語ったとアナドル通信は伝えている。「エルドアン大統領に感謝する。更生して、犯罪にはもう手を染めない人間になるよう努力する」

 法令は、さらに警察官2360人、軍属100人超、情報・通信当局職員196人の免職を命じている。また、トルコ軍トップの任命において、大統領により多くの選択肢を与える。これまでは陸海空軍の最高幹部のみがそのポストへの昇進が許されたが、大統領は今後いかなる軍司令官をも選ぶことが可能となる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、スマホ・PCなど電子機器の関税を免除 

ワールド

アングル:中国にも「働き方改革」の兆し、長時間労働

ワールド

グリーンランドに「フリーダムシティ」構想、米ハイテ

ワールド

焦点:「化粧品と性玩具」の小包が連続爆発、欧州襲う
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    車にひかれ怯えていた保護犬が、ついに心を開いた瞬…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    米ステルス戦闘機とロシア軍用機2機が「超近接飛行」…
  • 8
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク…
  • 9
    ノーベル経済学者すら「愚挙」と断じるトランプ関税.…
  • 10
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中