最新記事

金融

イギリス国民投票日ディーラーは徹夜覚悟、「ポンド危機」に身構える市場

2016年6月19日(日)10時23分

6月15日、英国がEUから離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される23日には、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。写真は英ロンドンの金融街。2014年11月撮影(2016年 ロイター/Toby Melville/File Photo)

 英国が欧州連合(EU)から離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される6月23日、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。市場はこの日、ポンド危機が起きた「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」以来、25年ぶりの大荒れになるとみられている。

 離脱が決まれば、第二次世界大戦以降の欧州統合の動きが頓挫、2兆9000億ドル規模の英経済の先行きに疑問符がつくことになろう。

 投票締め切りは2100GMT(日本時間24日午前6時)。関係筋によると、シティ、ドイツ銀行、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、HSBC、バークレイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、ロイズなどでは、投票締め切り後の開票状況を見守るため、ベテランのスタッフやトレーダーらに深夜勤務を要請しているという。

 国民投票の結果、離脱支持が大勢になれば、外国為替・株式・債券市場が大混乱に陥るほか、コンピューターシステムや株式取引所、清算機関など、西側市場のインフラの耐性が試されることになるだろう。

 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、ブレグジット(英国のEU離脱)が決まった場合には金融市場が大きく動揺し、FRBの次の利上げのタイミングがずれる可能性がある、との認識を示している。

 カーニー英中銀総裁は、ポンドは「おそらく急激に」下落する可能性があると警告。大手銀行は、離脱が決まれば数日でポンドはユーロと等価になり、対ドルでは1.20ドルまで下落する、と予想している。

 イングランド銀行(英中央銀行)でも23日、スタッフが徹夜で勤務。市場の暴落に備え、上級の政策当局者にも自宅待機を求めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中