イギリス国民投票日ディーラーは徹夜覚悟、「ポンド危機」に身構える市場
6月15日、英国がEUから離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される23日には、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。写真は英ロンドンの金融街。2014年11月撮影(2016年 ロイター/Toby Melville/File Photo)
英国が欧州連合(EU)から離脱するか、それとも残留するかが決まる国民投票が実施される6月23日、シティやゴールドマン・サックスなど世界の大手銀行では、ベテラントレーダーが不眠不休で対応する見通しだ。市場はこの日、ポンド危機が起きた「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」以来、25年ぶりの大荒れになるとみられている。
離脱が決まれば、第二次世界大戦以降の欧州統合の動きが頓挫、2兆9000億ドル規模の英経済の先行きに疑問符がつくことになろう。
投票締め切りは2100GMT(日本時間24日午前6時)。関係筋によると、シティ、ドイツ銀行、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、HSBC、バークレイズ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、ロイズなどでは、投票締め切り後の開票状況を見守るため、ベテランのスタッフやトレーダーらに深夜勤務を要請しているという。
国民投票の結果、離脱支持が大勢になれば、外国為替・株式・債券市場が大混乱に陥るほか、コンピューターシステムや株式取引所、清算機関など、西側市場のインフラの耐性が試されることになるだろう。
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、ブレグジット(英国のEU離脱)が決まった場合には金融市場が大きく動揺し、FRBの次の利上げのタイミングがずれる可能性がある、との認識を示している。
カーニー英中銀総裁は、ポンドは「おそらく急激に」下落する可能性があると警告。大手銀行は、離脱が決まれば数日でポンドはユーロと等価になり、対ドルでは1.20ドルまで下落する、と予想している。
イングランド銀行(英中央銀行)でも23日、スタッフが徹夜で勤務。市場の暴落に備え、上級の政策当局者にも自宅待機を求めている。