イギリスEU離脱に現実味、ちらつく為替協調介入の影
6月16日、EU離脱の是非を問う英国民投票が来週に迫るなか、離脱が決まり為替相場が急変動した場合、中銀の協調介入はあるのか。市場ではさまざまな憶測が広がっている。写真は15日、ロンドンで英国国旗がデザインされた風船と国会議事堂のビッグベン時計台(2016年 ロイター/Peter Nicholls)
欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票が来週23日に迫ってきた。こうした中でブレグジット(英国のEU離脱)が決まって為替相場が急変動した場合に、主要中央銀行が果たしてどう行動するのか、協調介入まで実施するのかを巡り、市場ではさまざまな憶測が広がっている。
主要中銀による協調介入は5年前、東日本大震災直後の円急騰を抑える目的で行ったのが最後だ。変動相場制においてこうした協調介入は極めて異例であり、今のところ英国民投票に関して各国中銀は必要なら金融機関に十分な流動性を供給するという約束のみにとどめている。
それでも今週のスイスや日本の当局者発言、中銀の政策会合の声明内容、さらに英国でEU離脱派の勢いが増している事態を踏まえると、政策担当者はもっと踏み込んだ協調行動が求められるのかどうかを検討している様子がうかがえる。
コメルツ銀行の通貨ストラテジスト、Antje Praefcke氏は「(ブレグジットが現実化すれば)外為市場では相場が乱高下し、流動性が乏しくなってポンドは急落しかねない。これは先進国中銀による協調介入を促す可能性がある」と指摘した。
スイス国立銀行(中央銀行)はブレグジットが決定してスイスフランが高騰すれば積極的に対応すると表明。ジョルダン総裁は中銀間で市場動向について緊密な意見交換を行っていると付け加えた。
日本でも日銀が16日、金融政策の現状維持を決めて円高がさらに進んだことを受け、菅義偉官房長官が必要なら対応する考えを示した。
ノムラ・インターナショナルの通貨ストラテジスト、後藤祐二郎氏は「スイス中銀と恐らく日銀も、介入して自国通貨の相場を押し下げたいと思っている。特にスイス中銀は、為替介入が通貨高抑制のためにいの一番に用いる手段であることはかなりはっきりしている」と述べた。