旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」
ビジネスの効率を上げる多様なワークスペース
2013年に複数拠点を集約してできたこの新オフィスでは、各スペースに作業時間の目安を設け、チェンジマネジメントを円滑に進めるための一工夫を凝らした。ロング(3時間以上)、ショート(1~3時間)、ドロップイン(1時間以内)の3段階のセッティングである。たとえば、キッチン脇で社員たちが談笑するベンチは「1時間以内」の使用が推奨されるという具合。
「わかりやすく表示されているわけではないのですが、働き方と場所がマッチしていない社員がいれば、その都度指導します。新しい環境で働くためには、社員教育は欠かせません。社員たちが、すぐ適応できると想定してはいけない。チェンジマネジメントは常に進行中のトピックです」(マクモラン氏)
特筆すべきは、RTWを導入しながらも、「チームのための空間づくり」が各所で意識されている点だ。
各フロアに全8カ所ある「ハブ」と呼ばれるスペースは、チームが集う場所という位置付け。中心部にあるソファ席でミーティングをし、掲示板でチーム内のプロジェクトの進捗状況を共有する。
また長期にわたるプロジェクトがあれば数週間~数カ月単位で占有できる部屋を、全フロアに確保した。「オフィスのどこで働いてもよいといっても人は本来、自分の場所が欲しい生き物」とマクモラン氏は見る。意図的に「チームが必要とする場所」を提供することで、個人の自由なワークスタイルを推し進めつつ、チームワークを維持している、というわけだ。