旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」
健康に悪影響を与えそうな事物はなるべく排除していく
ウェルビーイング促進においても、同社は先端をいく。自然光と植物をふんだんに取り入れた建物内は、どの空間を切り取ってもフレッシュだ。天井、壁面の仕上げを廃したローコスト空間は「広さ」の演出に貢献する。
【参考記事】オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!
「まるでスタジオのように広々としているオフィス」とのマクモラン氏の評は、あながち誇張ではない。チルドビームシステム(冷暖房・空調設備)は世界最大級のものを設置。エネルギー消費量を抑制しながら、静かで新鮮な空気をオフィスに供給し続けている。
ビジネスの中心、サザンクロス駅から100メートルという好立地も、意図するところは明快だ。
「社員には車の利用を減らし、公共の交通機関を使ってもらいたかったのです。1日3時間も車を走らせて通勤しなければならないとしたら、社員の健康にどれだけの悪影響があるかわからない。駅から歩いて45秒のオフィスを社員に提供できれば、彼らの生活は大きく変わるはずです」(マクモラン氏)
ナショナル・オーストラリア銀行の新オフィスは、銀行特有の硬直的なワークスタイルを激変させるに足るものだった。組織が変化に対して寛容であれば、市場変化に対応できる可能性も増す。マクモラン氏は言う。「新オフィスの成功は『今』ではありません。本当の意味での成功を得られるのは、そう、今から15年後というところでしょうか」
創業:1893年
売上高:約192億4800万豪ドル (2014)
純利益:約52億9500万豪ドル(2014)
従業員数:42,853人(2014)
https://www.nab.com.au
コンサルティング(ワークスタイル):Calder Consultants
インテリア設計:Woods Bagot
建築設計:Woods Bagot
WORKSIGHT 08(2015.10)より
text: Yusuke Higashi
photo: Masahiro Sanbe