最新記事

インタビュー

オフィスのウェルビーイングはすぐ始められる!

[石川善樹]予防医学研究者

2016年5月27日(金)16時27分
WORKSIGHT

※インタビュー前編:ウェルビーイングでワークスタイルの質を高める

小さく変えることが大きな変化につながる

 ウェルビーイング* になるためのヒントは思わぬところに転がっているし、身体が感情に与える影響ももっと重視されるべきだと思います。

 例えばオフィスのトイレ。健康づくりのサポートでいろんな企業や自治体にお邪魔していますけど、トイレで用を足した後にしっかり手を洗う人が実に少ない。水で指先をちょいちょいと濡らす程度で、せっけんで洗う人はほとんどいません。まあ、これは男性に限った話ですけれども。

【参考記事】全米を揺るがすトイレ論争

トイレの手洗いに見る企業の生産性

 欧米の企業で、特に個人のパフォーマンスが業績に影響するようなところは、用を足したら手をきれいに洗うよう指導されています。くしゃみやせきをする際も、日本人は手で覆うのに対して、欧米では腕で口を塞ぐよう小さいころからしつけられている。日本でもビジネス界をリードするような方はちゃんと洗っています。マナーの問題もあるけれども、感染症を拡大させないというリスク対策が企業の総体としての生産性向上につながっています。

 トイレといえば、濡れた手をエアータオルでブオーッと乾かすあの時間。あれも実は貴重だと思います。無心になれる瞬間ですよね。仕事では常に過去や未来に心がとらわれているもので、だから自分をリセットする瞬間は大事なんです。

 手洗いひとつとっても、ちょっとしたことで働く環境はもっとよいものになるはずです。そのときは必ずソフトとハードの両方の環境が必要になる。みんながせっけんで手を洗っていたら、僕も洗わなきゃと思うかもしれない。そういうことでオフィスのウェルビーイングは豊かになっていきます。**

【参考記事】部門ごとの働きやすさを追求、社員を「全員主役」にするオフィス

炭水化物過多、タンパク質不足が集中力低下を招く

 社内でラジオ体操をするのは健康に良さそうですけど、生産性向上やストレス軽減には実はあまり効果がないということが調査で分かっています。それよりも社員みんなで掃除をするのがいいですね。最初はいやいや取り組んでいた人も、終わればきれいになってすっきりするし、掃除が大掛かりになるのは大変だから普段からきれいにしておこうという意識も芽生えます。

 あるいは、ヘルシーでおいしい間食を用意しておくことも企業ができる1つの対策だと思います。ある会社で女性社員の方がランチに食べているものを見たら、コンビニで買った野菜ジュースとおにぎり2個なんです。「これ、食べたら眠くなりませんか」って聞くと「何で分かるんですか」と図星でした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米FRB議長人選、候補に「驚くべき名前も」=トラン

ワールド

サウジ、米に6000億ドル投資へ 米はF35戦闘機

ビジネス

再送米経済「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向

ビジネス

再送MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中