ジカ熱は小頭症の原因とCDCが断定
4月13日に発行されたイギリスの医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルには、CDCの解析結果を補強する論文が掲載されている。ブラジル北東部のペルナンブコ州で昨年7月から12月に生まれた小頭症の新生児23人の脳をCTとMRIで調べたものだ。
検査の結果、脳へのダメージは「極めて重い」ことがわかった。また血液検査の結果から、先天性障害を引き起こしうる他の要因(トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス、風疹、梅毒、HIV)がないことも確認された。
CT検査では脳組織の石灰化が確認され、妊娠中のある時期にジカウイルスが胎児の脳の細胞を殺し、その部分に傷ができて石灰が沈着したのではないかと、研究チームはみている。体の動きを制御する小脳と脳と脊髄をつなぐ脳幹にも発育不全が認められた。
先天性ジカウイルス症候群
脳の容積の縮小と脳内の腔の拡大に加え、一部の新生児では脳の皮質の形成不全が認められた。ミエリン(髄鞘)形成不全が疑われるケースもあった。ミエリンは導線を覆うビニールのように神経細胞の軸索を覆う膜で、神経細胞間の信号伝達をスムーズにする役目を果たしている。ミエリンが十分に形成されていないと情報伝達がうまくいかない可能性がある。
この研究は疫学的な研究ではないが、CTとMRIで観察された病変は他の症例研究とも一致するものだ。研究チームはCDCと同様、小頭症は「氷山の一角」ではないかと結論付けている。多くの医師が臨床経験に基づいて指摘しているように、ジカウイルスは胎児にさまざまな障害を引き起こす。今ブラジルで猛威を振るっているのは単に小頭症を引き起こすジカ熱ではなく、「先天性ジカウイルス症候群」と言うべきものだ。