欧州を目指す難民を待っていたあまりに無残な運命
ヨーロッパ各国が対応に苦慮する中、危険を冒した難民が死亡するケースが続出
旅路の果てに リビアの海岸にはボートの転覆で死亡した難民の遺体が打ち寄せられた Hani Amara - REUTERS
先週27日、シリアやバングラデシュ、さらに北部アフリカからの難民や移民約500人を満載した2隻のボートが、リビア沖の地中海で転覆した。リビア赤新月社によると、100人以上が溺れて死亡し、さらに数十人が行方不明になっている。2隻のボートは各国からの難民や移民が集まるリビアの港からヨーロッパを目指して出港していた。救助された人々は、トリポリ近くの収容センターに移送されている。
同じ27日、オーストリア東部のハンガリー国境近くの高速道路で、道路脇に放置された冷凍トラックの荷台から、シリア難民と見られる71人の遺体が見つかった。幼児など子供4人も含まれていた。難民たちは斡旋業者を頼りにヨーロッパを目指していたが、トラックの荷台に詰め込まれ、窒息して死亡したと見られている。
今年、中東やアフリカからヨーロッパを目指す難民や移民が急増している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、これまでに地中海を渡ってヨーロッパに上陸した難民、移民は30万人を超え、すでに昨年の総数の約22万人を大きく上回っている。原因は過激派組織ISISが勢力を拡大するシリアやイラクなど中東・アフリカ地域の情勢の悪化、さらに貧困や飢えなどによってバングラデシュやアフガニスタンからも移民は押し寄せている。
こうした人々が、密入国ブローカーを頼りに危険を冒してヨーロッパを目指すケースも多く、今年は密航船の転覆などによって地中海ですでに約2500人が死亡したり行方不明になったりしている。海路でギリシャやイタリアへ、陸路で東欧諸国などへ大量の難民が押し寄せる異常事態に対して、EUは9月に臨時の閣僚会合を開いて対応策を協議することにしている。