どちらが有望? FTAAPとTPP
農産品の関税で対立を続ける日米を横目に貿易自由化を主導する中国
歴史的? FTAAP合意を自慢する習近平 Reuters
今週北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で、アメリカ、ロシアをはじめとする参加国の首脳陣は、アメリカ主導のTPP(環太平洋経済連携協定)に対抗して中国が提唱する「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」の実現に向けて踏み出すことで合意した。
難航するTPP交渉を横目に見ながらの合意だ。TPP交渉では、日本とアメリカの間で農産物の関税などをめぐって対立が続いている。APECに参加した21の国と地域は、FTAAPの実効性を検証する共同研究を今後2年かけて進めることで合意し、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は「実現に向けての歴史的一歩だ」と評価した。
APEC閉幕後の記者会見で習近平は、「経済統合を発展させるAPEC地域の自信と決意を示したものだ。この合意は歴史に残るだろう」と、語った。
一方、アメリカ、日本、メキシコ、オーストラリアなどTPP交渉に参加する12カ国は、APECとは別に北京で会合を開き「大きな進展」があったとする共同声明を出した。
「各国の企業、労働者、農業従事者、そして消費者が、できるだけ早くTPP合意の実質的な利益を享受できるよう、交渉妥結を最優先にすることを担当大臣、交渉担当者に指示した」と、共同声明には書かれている。「交渉で残された問題を解決するには、継続して話し合うことが重要だ」
TPP交渉に参加しているのはアメリカ、カナダとアジア太平洋地域の10カ国で、中国は入っていない。このためTPPは、アジア太平洋地域での中国の影響拡大に対抗するアメリカ主導の動きと見られている。しかしオバマは今週、新華社通信とのインタビューで、アメリカが中国の経済成長を抑え込もうとすることは絶対にない、と語った。
「アメリカは、中国と中国の人々が経済的成功を収めて世界の安定と繁栄に貢献してもらいたいと願っている。それが米中双方にとって良いことだからだ」