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東西ドイツ統一

ベルリンの壁崩壊をめぐる3つの誤解

2014年11月11日(火)16時50分
ジェーソン・オーバードーフ

(3)政治家の勘違いが壁を崩壊させた

 ジーンズ姿の東ベルリン市民が次々に壁をよじ登るシーンを見ると、東欧最強といわれた東ドイツの秘密警察「シュタージ(正式名称・国家保安省)」に社会主義体制の維持を断念させたのは、自由を求める市民の力だったと思いたくなる。だがベルリンの壁崩壊の引き金を引いたのは、ある政治家の勘違いだった。

 11月9日、東ドイツを率いる社会主義統一党のスポークスマンだったギュンター・シャボウスキーは、国民の大量出国問題に関する記者会見で、政府が「すべての東ドイツ国民に国境検問所からの出国を認める」決定を下したと語った。いつからこの決定が適用されるのかと記者に質問されたシャボウスキーは、資料をめくりながら「私の理解では、直ちにだ」と回答。数時間後には、ボルンホルマー通りの検問所に市民が大挙して押し寄せ、壁を乗り越えていった。

 後になって、政府はすべての国民の自由な国境通過など認めるつもりではなかったことが明らかになった。政府が狙っていたのは、東ドイツ国内で抗議活動を主導する一部の不満分子を国外追放して再入国させないというシナリオだった。

 シャボウスキーはその計画が話し合われた会合に出席しておらず、誤った発表をしてしまった。歴史を変えた最大の功労者は、政治の混乱だったわけだ。

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