息子の嫁を買うために母は娘を売る──児童婚犠牲者の思いを代弁するZ世代が世界を変える
保守的な家族の反応を恐れ...
アフガニスタンでは女性が歌うことはタブーだ。そんな環境で、YouTubeに流したソニータの曲『売られる花嫁』が現地テレビで放映された時には、彼女は保守的な家族の反応を恐れたと回顧する。
「当時、私がとった行動に、親戚はとてもがっかりしていました。母や兄も、最初はよく思っていませんでした。彼らにとって、私の行動は重要な慣習を破ったことを意味するのです」
「でも、おかしいと思うこと、人間らしく生きることを妨げる慣習、自分自身、姉、友達、そして世界中の若い女の子たちの人生にとって不公平なことには、立ち上がって声を上げないといけない!」
一方で、自分を売ろうとした母に対してソニータは、「母は私のことを愛してくれている。ただ、それしか彼女は方法を知らないのです」と言う。なぜなら、ソニータの母も13歳で結婚、姉たちも若い年齢で結婚をしてきたからだ。
「アフガニスタンでは結婚させることが"女の子にとって最も安全な生き方"という、昔からの信条が続いています。そして、理想の花嫁像についても良妻賢母が求められてきました。母や親戚は、『料理、掃除をしっかりして、しきたりを守ることができ、きちんと子育てをする女性こそが、理想よね』と、よく話していました」
しかし、児童婚がもたらす影響は女の子たちの健康、そして社会へも及ぶ。
世界銀行と女性研究国際センター(ICRW)の調査では、2016年~2030年の間に児童婚を終わらせることで、210万人以上の子供の死を防ぐことができると報告している。
また、貧困の連鎖、女の子たちが学校教育を修了する可能性の減少、家庭内暴力の被害にあう確率の高さなどのリスクも指摘されている。
ソニータは一番初めに児童婚をさせられそうになった頃のことを、こう振り返る。
「家族が初めて私を花嫁として売ろうとしたとき、私はまだ10歳でした。"結婚"という言葉から想像できるのは、綺麗なドレスを着て、友達や家族と遊んでいたお嫁さんごっこ。子供だった私にとって、その後に、どのような生活が待っているかなんてまったく想像もつきませんでした」
では、彼女の例のように"本当の結婚生活"を知らない女の子たちが、その後の現実に直面するとどうなるのだろうか。ソニータはこう、説明する。