息子の嫁を買うために母は娘を売る──児童婚犠牲者の思いを代弁するZ世代が世界を変える
「この因習は女の子に、自分を"無力"な人間だと感じさせます。実際に、私の友達はこんな状況で暮らしています」
・まだ彼女たち自身が子どもにも関わらず、出産をする
・学校に行かずに、家事をしている
・夫からの暴力を受けている
・嫁ぎ先の慣れない場所で暮らし、恐れている
・将来への希望が持てず、憂鬱な気持ちで暮らしている
原動力は「憧れ」、夢を叶えるツールは「ソーシャルメディア」
ソニータはその後、YouTubeの投稿から話題になった『売られる花嫁』のミュージックビデオを見たアメリカのNGOの協力を得て、アメリカで勉強するという夢を叶えた。渡米当時、ほぼ話せなかった英語はすぐに上達し、現在はワシントンのアメリカン大学で勉強をしている。そして、今では母もソニータの可能性を認め、「ファン」になったという。
また勉強の傍ら、児童婚の撤廃のために、彼女は国連のイベントなどの登壇やラッパーとしての活動を通し、過去の自分と同じ状況の若者たちにメッセージを送り続けている。
「若い女の子、そして男の子にとって重要なことが、『どんなことでも、可能性がある』という"希望"、そして将来のビジョンをしっかり持つこと。彼女たちが自分のために人生を歩むことができるよう、勇気づける曲を今後も作っていきたい」
「この世には何千もの苦しみや不平等があるけど、大きな希望だってある。 前に踏み出して、変えたいことを口に出すことで、絶望の代わりに希望に生きることができると思っています」
因習という束縛の連鎖に留まるか、飛び出るか――。その境界線を越える原動力になるものが、「強い憧れ」や「夢」だ。そして、それを"夢"で終わらせず、現実のものにしてくれるツールがソーシャルメディアなのかもしれない。
実際にアフガニスタン難民として抱いていた夢を米国で叶えたソニータの物語は、そんなことを私たちに教えてくれる。