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トランプ後継への隠し切れない野心、元国連大使ニッキー・ヘイリー

NIKKI HALEY'S BIG CHANCE

2021年3月5日(金)18時00分
ビル・パウエル(本誌記者)

そこへ降って湧いたのが1月6日の議事堂襲撃。あれでますますヘイリーの出番が近づいたと、支持者たちは考えている。彼女自身もそれに気付いているのだろう。数週間後にテレビで、トランプを批判したのがその証拠だ。

ヘイリーが大統領選への出馬を視野に入れていることは、彼女の周辺では公然の秘密だ。一昨年のクリスマス前にフロリダ州パームビーチで開かれた保守系団体の年次総会でのこと。日暮れ時のカクテルパーティーには共和党の重鎮や大口献金者、保守系メディアの司会者らが集まった。トランプと親しい人たちもいた。

もちろんオフレコだから、「トランプの次」は誰かという微妙な話も出た。するとヘイリーの名が挙がった。「彼女は野心家だから」と言ったのは、自身も大統領選への出馬をささやかれている某上院議員。「いやまあ、底なしの野心だよ」

その場に居合わせた筆者は、ヘイリーが自著で「自分が野心家だと思ったことは一度もない」と書いている事実を指摘した。すると、みんなが顔を見合わせて、何か言いたそうだったけれど何も言わず、そろって笑いだした。

ヘイリーがなんと言おうと、彼女の野心がホワイトハウスに住むことにまで及んでいるのは明らかだ。もちろん、当面はトランプの出方を慎重に見極めるしかない。しかしトランプが再出馬を断念すれば、ヘイリーは共和党の最有力候補の1人になるだろう。たとえトランプが潔く身を引かなくても、ヘイリーは出馬して以前のボスと戦うだろうと予想する友人もいる。

「今はまだ100%出馬するとは言えないが」と、ヘイリーと長年にわたって政治的な同盟関係にあるサウスカロライナ州のある政治家は匿名を条件に語った。「だが1月6日の事件にヘイリーはショックを受け、嫌悪感を抱いた。いずれ彼女は自問するはずだ。自分ならこの混乱を収拾できるか、と。もちろん答えは決まっている。イエスだ」

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