最新記事
宇宙

「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学者が発見か

Hidden Black Holes May Be Revealed Across the Universe After Discovery

2025年3月31日(月)17時00分
イアン・ランドール

しかしながら、はるか遠くにあるクエーサーの最も内側の領域を観測するという課題の達成は難しい可能性がある。

「多くの超大質量ブラックホールは、初期宇宙の塵が多い区域に隠されており、見つけられない可能性がある」と、津久井は説明した。

「ALMAで観測された電磁波は、塵によって簡単には吸収されない性質があることから、我々が用いた観測手法は、隠された超大質量ブラックホールを発見するための強力なツールになる」

ALMAの観測データは、ブラックホールの付近に見られる極限状況についての理解を深める上で、すでに研究者の役に立っている。

「ブラックホール周辺で渦を巻く物質が発する強烈なX線放射は、──強い風と衝撃波も加わることで──、通常の銀河環境で典型的に見られる状態よりもはるかに高いエネルギー状態までガスを熱することがわかった」と、津久井は付け加えた。

ここで比較として挙げられている、より一般的な銀河環境では「主なエネルギー源は、恒星からの紫外線放射から来るものだ」と、津久井は説明した。

今後、他の天体でも、ガス排出の様子を高解像度で観察できれば、超大質量ブラックホールの形成・進化の過程に関する理解がさらに深まるはずだと、研究チームは期待している。

(翻訳:ガリレオ)


【参考文献】
Tadaki, K., Esposito, F., Vallini, L., Tsukui, T., Saito, T., Iono, D., & Michiyama, T. (2025). Warm gas in the vicinity of a supermassive black hole 13 billion years ago. Nature Astronomy.

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:長期金利急低下、米関税でパニック買いも 

ビジネス

アングル:日本株底入れまだ先か、上値抑制の「逆パー

ワールド

石破首相、トランプ氏との電話会談を模索 米関税巡り

ビジネス

焦点:関税の次は金融か、トランプ氏の次の一手に戦々
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 5
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 8
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 9
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中