最新記事

食品

遺伝子組み換え「安全」と科学者、それでも不信感が消えない理由

Labeling GMO Foods

2018年7月23日(月)10時50分
スコッティー・アンドルー

言い回しを変えても、消費者の抵抗感は減らないかもしれない。国際食品情報会議(IFIC)の調査では、「BE原材料を含む可能性がある」と表示されたキャノーラ油について、回答者のほぼ60%が健康に及ぼす影響が気になると答えた。

この調査結果はバーモント大チームの調査結果と矛盾するが、背景には消費者の戸惑いがあると、ジョージア大学のウェイン・パロット教授(作物遺伝学)は言う。「食べ物については合理的な判断よりも、感情的な反応が先行しやすい」

GMOをめぐる議論では推進派・反対派双方の主張が過熱し、消費者をさらに混乱させている。IFICの2006年の調査では、GM食品を「避ける」と答えた人は皆無だったが、その後消費者の不安は増幅。科学者のほぼ9割がGM食品の安全性を認めているが、アメリカ人を対象にしたピュー・リサーチセンターの2015年の調査では、回答者の半数以上が安全性を疑問視していた。

パロットはこうした状況はすぐには変わらないとみている。「GM食品をめぐる議論は20年続いてきて、さらに20年続きそうだ。消費者の考えも揺らいでいて、簡単には把握できない」

[2018年7月24日号掲載]

ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ECB幹部、6月の0.25%追加利下げでコンセンサ

ワールド

PLO副議長にシェイフ氏、アッバス議長の事実上の後

ビジネス

米経済停滞の予想6割に、物価高継続の見方=JPモル

ワールド

アングル:コメ譲歩に慎重論、車関税の除外不透明 日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 6
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中