「自分にできることを...」JICA職員・林 研吾さんが蟹江研究室で培ったSDGsの視点
──SDGsの課題は?
日本が国際協調について話し合う際、どうしても国内経済や日本内部の課題への関心が強く、「そんなことをしている場合か」という意見が出やすい現状があると思います。このような考え方にも一理あるとは思いますが、一方で、なぜ国際協調が必要なのか、なぜSDGs達成に向けて行動しなければならないのかを知る機会を作り、私たちがその意義をしっかり伝えることが重要だと感じています。
現在、日本の教育指導要領にもSDGsの文言が取り入れられ、学校内でSDGsをテーマにした授業が行われるようになっています。ただ、現場では課題も多く、以前、私がJICA中部センターで学校の先生方と一緒に仕事をしていた際、「自分がSDGsを理解できていないので子どもにどう伝えたらいいのかわからない」「教材をどう作ればいいのかわからない」といった声を多く耳にしました。上からSDGsが大事だと指針を示されたとしても、教育現場では、まず教える側がしっかり理解し、その後でどのように次世代に伝え、アクションを起こさせるかを具体的に考えなければ、成果にはつながらないと感じました。
また、気候変動のニュースなどで未来に危機感を持つ人はいるとは思いますが、実感が湧きにくい部分も多いかと思います。その重要性をいかにわかりやすく伝え、考えるきっかけを提供するかがSDGs達成に向けては大きな課題と考えております。SDGs達成への具体的な行動につなげていくために、多くの方々にSDGsや世界の現状を知っていただき、それらについて考えていただけるように発信していくことが私たちに求められている役割だと思っています。
──SDGsを学ぶ若者たちに向けてアドバイスを。
将来「これをやりたい」と思った時に、組織に属するか、自分で何かを始めるか、人それぞれ選択肢があると思います。ただ、何かを実現しようとするとき、必ずと言っていいほど制約が出てくるものです。その中でも、破ってはいけないルールは守るべきですが、一方で、その制約を理由に諦めるのではなく、「どうすればそれを乗り越えられるのか」を考え、行動してほしいと思います。
SDGsを学んでいる多くの方が、持続可能な社会の実現という同じビジョンを描いていると思いますが、その過程で壁にぶつかることは避けられません。しかし、そこで立ち止まらず、同じ志を持つ仲間と繋がることで、新しい道を見つけられるはずです。
私自身も、やりたいことをどう実現するか、日々試行錯誤しながら取り組んでいます。皆さんと一緒に挑戦し、SDGsを通じて持続可能な社会の実現に向けて前進していけたらと思っています。

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