最新記事
SDGsパートナー

肥料に燃料、接着剤にも...再資源化で産廃処分ゼロを実現した中日本カプセルの「ゼライクル」とは?

2024年8月8日(木)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
ゼラチンの残渣

ソフトカプセルの製造時に発生するゼラチンの残渣。その量は年間300トン以上にも及ぶ

<主力商品の製造時に発生し、焼却処分する際に温室効果ガスを排出していた「ゼラチンの残りかす」を再資源化することに成功。その意義と多岐にわたる使い道を紹介する>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

世界全体で年間100億トン以上排出されている産業廃棄物。地球規模の環境汚染を防ぐために、どのように再資源化していくべきなのか。中日本カプセル株式会社は、ソフトカプセル製造の際のゼラチンの残渣(ざんさ)を肥料として活用する「ゼライクル」プロジェクトにより、産業廃棄物の抑制と持続的な食料生産の両立を進めている。

温室効果ガスの発生源を作物の肥料へと変えていく

工場や建設現場、水処理場、エネルギー施設などから排出される産業廃棄物。廃棄物工学研究所が2020年に公開した「世界の廃棄物発生量の推計と将来予測」によると、世界全体では毎年約100億トン以上もの産業廃棄物が排出されており、2050年の排出量は279.3億トンに達すると推計されている。

産業廃棄物の排出量は一般廃棄物の5~10倍。「つかう」手前の段階、「つくる」ことそれ自体が、多量のゴミを生んでいる。

工場廃水より生じた汚泥や建設廃材などは、放置すれば大気や水質、土壌汚染の原因となり、生態系や人々の健康に深刻な影響を及ぼす。

廃棄物や汚染を生み出すことなく、もう一度循環させていくためのポイントは「処理」ではなく、「再資源化」に考えをシフトしていくことだ。

ゴミだと思っていたものから、どうやって新たな「価値」を引き出すのか。

岐阜県大垣市に本社を置く中日本カプセルは、産業廃棄物の削減と持続可能な食料生産の両立を目指す一社だ。意外なゴミから有機質の肥料を製造する取り組みが注目を集めている。

1996年に創業した同社は、「ソフトカプセル」の生産を得意とするメーカーだ。ソフトカプセルとは、ゼラチンでつくった皮で液体を包み込み、球形・楕円形のカプセルに成型したもの。健康管理や栄養補給を目的とした健康補助食品、いわゆるサプリメントに使われている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:イスラエル軍の秘密情報部隊が関与か、ヒズ

ワールド

豪8月就業者数は予想上回る、失業率横ばい 労働市場

ワールド

自社製品か確認できずとアイコム、レバノンの無線機爆

ワールド

深セン日本人学校の児童死亡、中国に安全確保強く求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 3
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 10
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中