最新記事
SDGsパートナー

生態系にも影響を与える「光害」を低減、アジア初カテゴリーの「星空の世界遺産」認定を可能にしたパナソニックの照明技術

2023年12月6日(水)16時45分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
照明

<福井県大野市が米NPOから「星空保護区」認定を得られた陰には、上空へ漏れる光が一切ないパナソニックの「光害対策型」屋外照明があった>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

地球が抱える課題は、温暖化や大気汚染、水質汚濁だけではない。照明がもたらす「光害(ひかりがい)」という課題もあり、その対策に関心が集まっている。

光害とは、照明の設置方法や配光が不適切で、景観や周辺環境への配慮が不十分なために起こる公害のこと。放っておくと、電力の浪費や農作物の生育不良を引き起こすほか、野生動物の発育・習性に悪影響を与えるなど、生態系に被害を及ぼす危険がある。また、夜間照明の眩しさが交通事故を誘発したり、天体観測などの研究活動が阻害されたりと、人間の活動に対する影響も少なくない。

天体観測と言えば、研究ではなく観光に「美しい星空」を活用する自治体もある。その一例が、面積の約9割を森林が占める自然あふれるまち、福井県大野市だ。2004年、2005年には2年連続で環境省「日本一美しい星空」に選ばれている。

2023年8月、福井県大野市の東部にある南六呂師エリアは、星空の世界遺産と呼ばれる「星空保護区」に認定された。認定を勝ち取るカギとなったのが、パナソニックの協力を得て実施した光害対策だった。

星空保護区とは、米NPOのダークスカイ・インターナショナルが実施する暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度。6つのカテゴリーがあり、福井県大野市南六呂師はその1つである「アーバン・ナイトスカイプレイス」で、アジア初の認定を受けた。

地理的に近隣の明るい都市の影響を受けるため、ほかのカテゴリーで認定は受けられないが、一方で市街地に近いことから人を呼び込みやすく、地域における星空保護活動の普及を促すことが目的とされている。光害に配慮した厳格な基準を満たす屋外照明も、認定には不可欠だった。

福井県大野市 六呂師高原内にあるミルク工房奥越前

六呂師高原内にあるミルク工房奥越前(写真奥)。星空ハンモックやプラネタリウム、奥越高原牧場の生乳を使ったアイスクリーム作り体験など、さまざまなイベントが開催される

地域の協力を得て、防犯灯58台、道路灯36台等を設置

大野市は光害に対応するため、2018年から福井工業大学、2019年には照明器具のリーディングカンパニーであるパナソニックとの連携を開始した。大野市が所有する施設の屋外照明改修計画書の作成にあたった福井工業大学の下川勇教授は当時をこう振り返る。

「エリア内の公共施設にある全ての照明器具を検査したところ、基準をクリアできる照明は1つもなかった。正直なところ、2023年度以内に星空保護区の認定を受ける目標はとても達成できないと思った」

試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中