コラム

日米首脳会談で「ホームラン」を打った石破首相、そこに潜む深刻な懸念材料

2025年02月22日(土)15時45分
石破茂

共同記者会見で石破と2人で撮った写真を見せるトランプ(2月7日) KENT NISHIMURA–REUTERS

<アメリカの知日派が石破訪米を絶賛する一方で、トランプが本当に重視するのは「空気が読めるか」どうかではない>

日本人の「空気を読む」力と気配りの素晴らしさを説明するために、私はいつもスターバックスの例を挙げて説明してきた。六本木ヒルズのスターバックスで妻が座る席を探していて、コーヒーをこぼしたときのこと。彼女がスタッフに声をかけるより早く、椅子に座る前に代わりのコーヒーが親切な笑顔と一緒に無料で届けられた。

だが、どうやらそれも終わりだ。石破茂首相は気性の荒いアメリカ大統領との初会談という大舞台で抜群のパフォーマンスを披露した。


複数の専門家に話を聞いたところ、共通のコメントが2つあった。まず、トランプ米大統領が就任式で使った「新たな黄金時代」というフレーズを、日米関係の「新たな黄金時代」と言い換えた言語センスの巧みさ。日本をアメリカの敵国扱いしていた1980年代にトランプの地政学的世界観が形成されたことを考えれば、この快挙はさらに驚異的だ。

そして、石破は目標を全て達成したと、私が話をした相手は口をそろえた。アメリカは「自由で開かれたインド太平洋」にコミットし続けるというアジアの同盟国を安心させる言質をトランプから直接引き出したこと。厄介な日本への防衛費増額要求がなかったこと、貿易不均衡を突いてくるトランプの常套手段を回避できたこと......。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インタビュー:円債投資は射程圏、上場・未上場株はま

ワールド

中国、英政府に企業の公正な扱い要求 鉄鋼大手の政府

ワールド

トランプ氏、韓日印との関税交渉即時開始を指示か─韓

ビジネス

保有国債とETF、11日時点で計2兆円の評価損=上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    車にひかれ怯えていた保護犬が、ついに心を開いた瞬間...胸に顔をうずめた姿に世界が涙
  • 3
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助けを求める目」とその結末
  • 4
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 5
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に.…
  • 6
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    ひとりでさまよっていた老犬...盲目で耳も聞こえず、…
  • 1
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    凍える夜、ひとりで女性の家に現れた犬...見えた「助…
  • 5
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 6
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    「やっぱり忘れてなかった」6カ月ぶりの再会に、犬が…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    公園でひとり歩いていた老犬...毛に残された「ピンク色」に心打たれる人続出
  • 3
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世界が感動
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story