生産工程を徹底的に分析し、CO2排出量も食品廃棄も削減...ニチレイフーズの最新環境配慮型工場の秘密
最先端のシステムを導入した同工場では、多数のカメラやセンサーが配置されている。画像をリアルタイムで、「コックピット」と呼ばれるモニターに集約することで、現場の状況をリアルタイムで把握できるようになっており、生産性指標の見える化だけでなく、環境データの見える化も実現した。
「ニチレイの約束」に則って建設、カーボンニュートラルに貢献する工場に
ニチレイグループが掲げるサステナビリティ基本方針は「ニチレイの約束」と呼ばれ、ニチレイフーズはこの方針に則って、サステナビリティの取り組みを進めている。今回のキューレイ第三工場建設にあたっても、「ニチレイの約束」に準拠したかたちで環境負荷の低減を図っていった。
ニチレイフーズにとって、同工場の意義は環境面だけにあるのではない。主力カテゴリである冷凍米飯の専用工場はもともと千葉県にもあり、これで東西2拠点体制が確立。災害など緊急時に商品供給を止めないBCP(事業継続計画)の強化につながった。
新技術を伴う製造ラインを導入したことで、多様化する消費者ニーズに応える新たな商品提案も可能になる。さらには、地域社会やそこで働く従業員との関わりだ。
「新工場では、最新鋭の設備導入やDXの推進による経済的価値の向上はもちろんですが、環境負荷の少ない生産活動や、食育を通じた社会・地域貢献など社会的価値の向上に努め、従業員が誇れる、働き続けたい工場にしていきます」と、佐藤氏は胸を張る。
「ニチレイの約束」に戻れば、そこに掲げられているのは、温室効果ガスの排出削減から、食資源・水資源の適切な管理、安全で高品質な商品の安定供給、環境や人権・労働環境への配慮、循環型社会の実現まで。新工場に期待される「約束の履行」は多そうだ。
気候変動対策についてニチレイフーズは、国内のスコープ1及びスコープ2(※)におけるCO2排出量を2030年までに50%削減(2015年比)する目標を掲げている。新工場はその目標達成に貢献するものになるだろう。
※企業自らが排出する直接排出をスコープ1、その企業の電力などのエネルギー調達に伴う間接排出をスコープ2と呼ぶ。
2020年、日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すと宣言した。日本の製造業においても、それぞれの企業がそれぞれに目標を掲げ、温室効果ガス排出削減の取り組みを加速させている。
ニチレイフーズのキューレイ第三工場のような環境配慮型の工場がもっと増えれば、日本ひいては世界のカーボンニュートラル実現が近づいていくだろう。
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