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日本の伝統的酒造りがベルギーの心をつかむ! ユネスコ無形文化遺産がつなぐ醸造文化の共通点とは?

2025年3月28日(金)18時08分
文:Pen編集部

日本酒に加え、焼酎、泡盛も登場したレセプション

第2部のレセプションは、コリンシア ホテル ブリュッセル内にあるレストラン、パレ ロワイヤルのヘッドシェフを務めるデイヴィッド・マーティンによるペアリングフードの紹介からスタート。マーティンは、ブリュッセルの伝統と先進的な調理技術、日本のミニマリズムを融合した革新的な料理で、自身のレストランであるラ・ペにミシュラン2つ星をもたらした経歴を持つ。

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パレ ロワイヤルのヘッドシェフを務めるデイヴィッド・マーティン。12年にわたって、ベルギーで本格的な日本料理を広めるイベントのサポートもしてきた。

ペアリングフードは黒トリュフ入りマグロのカヌレ、貝のエスプーマ仕立てによるロブスターとセロリのサラダ、佃煮と蒲鉾、マッシュルームの茶わん蒸しなど、全10種。デザートの器には酒枡が使用されるなど、演出にも趣向が凝らされた。そして、ユネスコ日本政府代表部特命全権大使である加納雄大による挨拶と乾杯でスタート。乾杯時には、シンポジウム特製のおちょこに注がれた日本酒が振舞われた。

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ユネスコ日本政府代表部特命全権大使の加納雄大。「長い伝統と歴史を持つ日本酒が、日本とベルギーの文化の懸け橋になっていることを嬉しく思う」と語った。

この日用意されたのは、第1部の利き酒体験で登場した銘柄に加え計8銘柄。スパークリング日本酒に加え、蒸留酒の芋焼酎と泡盛の古酒が提供されたことで、味わいのバリエーションに富む日本酒の奥深さが十分に訴求されたレセプション試飲会となった。

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レセプションでは現地で購入可能な銘柄を中心に日本酒7銘柄、焼酎1銘柄、泡盛1銘柄が供され、日本産酒類のバリエーション豊かな味わいをアピール。

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左より、相川一俊(欧州連合日本政府代表部特命全権大使)、三上正裕(駐ベルギー特命全権大使)、小西新右衛門(日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会会長)、加納雄大(ユネスコ日本政府代表部特命全権大使)、クリシャン・マウドガル(ベルギービール協会CEO)、門司健次郎(元ユネスコ日本政府代表部特命全権大使)、デイヴィッド・マーティン(パレ ロワイヤル ヘッドシェフ)。

実は第1部のパネルディスカッションの後に質疑応答が設けられ、参加者からさまざまな質問が飛び交った。日本酒の熟成に関するものや、添加する醸造アルコールの詳細について、さらに酒米の種類やテロワールにまでおよび、参加者の日本酒に対するリテラシーは決して低くはないことがわかった。

ユネスコ無形文化遺産登録をきっかけに、啓蒙活動を続けることで、多種多様な日本産酒類の魅力が世界中に理解されることを期待したい。


インフォメーション ●日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会

https://note.com/koji_sakezukuri/

●国税庁(ユネスコ無形文化遺産「伝統的酒造り」について)

https://www.nta.go.jp/taxes/sake/koujikin/index.htm

●「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録PR動画(国税庁作成・YouTube)

https://youtu.be/0xlG75lk64I (日本語版)

https://youtu.be/ZdDsKovknb4 (英語字幕付き版)

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