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「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」

2025年2月11日(火)08時50分
ニール・バルジライ (アルバート・アインシュタイン医科大学教授)

カロリー制限は期待通りの効果を示し、そのグループは制限なしのグループより約40%長生きした。内臓脂肪を取り除いたグループはそれほど長くないが、対照群より約20%長生きした。

このように、内臓脂肪を取り除くと、最高寿命がカロリー制限したラットの寿命に近づいた。つまり栄養そのもの、または栄養を与えた時間が老化の一因だが、内臓脂肪を取り除けば、長寿にめざましい効果があるということだ。


 

人々にこの手術をするつもりはないが、同じ効果がある侵襲性の低い治療法や薬を開発できるかもしれない。ある企業が腹腔内の脂肪をとかす方法を開発中で、わたしたちも協力している。

サルでは著しい代謝の向上が実証され、現在ヒトでの臨床試験を始めるところだ。なので、もうすぐ良い知らせをお伝えできるだろう。

また、皮下脂肪についてもすばらしいニュースがある。皮膚の下に少量の脂肪があるのは良いことだとわかってきている。

皮下脂肪はウイルスや細菌など、皮膚から侵入しようとする物質への防御バリアとして働くだけでなく、「善玉」ペプチドや、アディポネクチンのような脂肪ホルモンを分泌するからだ。これらはすでに述べたように、センテナリアン[編集部注:百寿者/100歳以上の人]の体内に多く見られる物質である。

(略)

カロリー制限が健康寿命と寿命を延ばしているらしいとわかったので、それが成長ホルモン、性ホルモン、甲状腺ホルモンの値や、インスリン値、コルチゾール値にどのように影響するか、学界が関心を持つようになった。

結果として、動物モデルでカロリー制限時のホルモン値を維持しても、それだけで寿命の延びは見られなかった。

これまでのところ、減少することで寿命に違いをもたらすとわかっている唯一のものは、成長ホルモンの減少だ(これについては本書『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる』第4章で詳しく説明する)。

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