睡眠中に体内は大掃除されている...「寝ているあいだにキレイになる」は本当だった
有名な1989年の研究[*3]では、シカゴ大学の研究者らが実験用のラット群が実際に死ぬのを観察した(人間で同様の実験をするのは倫理的に許されないが、僕らにも同じ危険があると考えるのは筋が通っている)。
人間は食べないより寝ないほうがずっと早くに命を落とすのに、本能的に空腹より睡眠不足による疲労のほうがましだと言う人がほとんどだろう。では逆に、十分な睡眠がとれればどれだけ頭が切れて集中力が高まるかをご存じだろうか?
その感覚を裏づけ、良質な睡眠のメリットを科学的に論じる研究が毎日のように発表されている。夜の時間を活動せずに過ごせば、精神的にも肉体的にも生まれ変わることができる。睡眠はあなたの潜在意識が問題を解決し、筋肉を休息させ、タンパク質の生成を促して成長させるための時間なのだ。
睡眠中の脳内では、最近発見されたグリンパティック系[*4]──グリア細胞が縮んで隙間を作り、そこを脳脊髄液が流れて細胞の老廃物が排出される経路──によって炎症誘発物質が排除される。
その結果アルツハイマー病その他の脳疾患のリスクが低下すると考えられ、脳の全般的な老化を遅くする可能性もある。毎晩6時間半から8時間寝ると、高血圧を防いで心臓病のリスクを下げるようだ。
よい睡眠はメラトニン・レベル上昇、炎症抑制、さらには睡眠中に働きはじめるタンパク質消化酵素による細胞修復をはじめ、さまざまなメカニズムを介してがんの発症リスクを下げるというエビデンスもある。
しかし、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、アメリカ人の35パーセントは毎晩の睡眠時間が7時間に満たない[*5]。きっとあなたもそうだろう。
それにCDCの調査では、7時間以上寝ている人の睡眠の質が高いかどうかまではわからない。そこで、睡眠とファスティングの強い関連性を検討する前に、睡眠そのものの重要性について考えてみよう。
・ 睡眠はストレスを減らす。
・ 睡眠は炎症を抑える。
・ 睡眠は治癒を早める。
・ 睡眠は認知機能と記憶力を向上させ、あなたを賢く機敏にする。
・ 睡眠は性欲を高める。
・ そしてもちろん、睡眠は減量に役立つ。
暗闇に乗じていつ敵が襲ってくるかしれないジャングルで眠っているのでもない限り、良質な睡眠にマイナスの要素はない。そしてファスティングはそれを実現させるのに一役買う。