食後70分以内に散歩、筋トレ、階段の上り下り。血糖値スパイクは「食べたら動く」で防げる
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<食後は内臓を休ませたほうがいいという言説もあるが、実は世界各地に食後の散歩を勧める伝統がたくさんある。食後のその習慣が血糖値にもたらす健康効果は絶大。グラフでその様子もはっきりわかる>
「血糖値スパイク」と呼ばれる急激な血糖値の上昇は、あらゆる病気の原因になると言われている。糖尿病、慢性疲労、不眠や更年期症状、ひいてはうつに至るまで、多くの病気の引き金をひいているのだ。
それを防ぐには日々の食習慣を整えることが重要だが、何をどんなふうに食べるか、それを実行するとどんな変化があるかをリアルタイムに可視化することはこれまでできなかった。
生化学者で、各国でベストセラーとなった書籍『人生が変わる 血糖値コントロール大全』(かんき出版、原書はGlucose Revolution)の著者であるジェシー・インチャウスペは、持続血糖測定器を24時間着用し、血糖値スパイクが起こる様子をグラフ化。好きなものを食べながら血糖値を最適にするテクニックをインスタグラムで発信し、世界中で話題になった。
そのテクニックをわかりやすく、詳しく解説した『血糖値コントロール大全』から一部を抜粋・再編集し、2回に分け掲載する(この記事は第2回)。
※第1回はこちら: 血糖値が正常な人は12%だけ。「砂糖よりハチミツが健康」と思っている人が知るべき糖との付き合い方
筋肉の収縮がグルコースを燃やす
まぶたは3~4秒ごとに脳から電気信号、すなわちインパルスという形でメッセージを受けとっている。その信号に含まれているのは簡単な指示だ。「さあ今、瞬きしてください。そうすれば、目に水分を補給して、このすばらしい本を読みつづけられます」
体中で筋肉が収縮することによって、わたしたちは歩いたり、寄りかかったり、つかんだり、もちあげたりすることができる。意識的に動かせる筋肉(指など)もあれば、そうではない筋肉(心臓など)もある。
意識的にでも無意識にでも、筋肉が何度も強く収縮するよう指示されるほど、エネルギーがたくさん必要になる。エネルギーがたくさん必要になるほど、グルコースがたくさん必要になる(筋肉細胞のミトコンドリアは脂肪からもエネルギーを得られるが、グルコースが豊富にあれば、そちらのほうが手っとり早い)。
ちなみに、細胞のためにグルコースを燃やしてつくるエネルギーには、特別な名前がある。アデノシン三リン酸、略してATPだ。グルコースの燃焼率は、体の動きの強さ、つまり筋肉が必要とするATPの量によって違う。くつろいでいるとき(ソファにすわってテレビを観ているとき)より、激しく運動しているとき(公園で走る犬をつかまえるため全速力で走っているとき)のほうが、1000倍も多いこともある。
筋肉が新たに収縮するたびに、グルコース分子が燃やされる。これを、血糖値曲線を平坦にするために利用すればいいのだ。
食後筋トレも効果的
「食後に100歩」というインドの慣習のように、食後の散歩を勧める伝統はたくさんあり、どれももっともな理由がある。グルコース(たとえば、どんぶり1杯の白米のグルコース)が体に流れこんだとたん、2通りのことが起こりうる。